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僕とAが会話している間に雷門は調子を取り戻し、白恋から1点を奪い返した。1-1だから、これでタイスコアだね。
「……吹雪兄弟が前に出た」
他のチームメイトを置いて、吹雪兄弟は雷門の陣営へと攻め入る。その動きは兄弟だからというやつなのか、息のあったコンビネーションだ。
「……来る」
吹雪士郎がボールを上げる。そのボールを吹雪アツヤが蹴り落とした。……これは必殺技だね。
「「”ホワイトダブルインパクト”！！」」
”ホワイトダブルインパクト”と呼ばれた吹雪兄弟による連携必殺技が雷門のゴールへと向かう。
「”ウズマキ・ザ・ハンド”！」
奪われた点を奪い返す。当然の行動だ。だからといって奪われるわけにはいかない。当たり前のことだ。そう易々ゴールを渡す者などいないだろう。
セーブ率が高いとは言えない雷門のゴールキーパーは、必殺技でシュートと止めようと粘っているけど……。
「冷気は水を凍らせてしまう。……自然の理のようだね」
ホイッスルが鳴り響く。それは白恋に追加点が入ったという意味だった。
1-2
……あぁ、また離されちゃったね。
「……」
「どうかしたかい？」
なんだろう。さっきまでどこか嬉しそうな表情を見せていたAが、今度は目を少しだけ見開かせていた。その視線を辿った先にいたのは……吹雪兄弟だ。
気になった僕は彼女に声を掛けた……その直後だ。
「……！」
Aが一滴の涙を流したのは。相変わらず自分が泣いていることに気づいていないのか、ずっと吹雪兄弟を見つめている。
「A。……A！」
「！ ……何、ゆうま」
「また泣いてるよ」
「え……？」
自分の頬に手を当てて、漸く泣いていることに気づいたらしい。泣くというのも立派な感情だ。やっぱり感情が欠落しているのは間違いないと思うんだけど……奥底にある”本当の彼女”にはまだ感情が残っているんだろうね。だから、今のAが小さく表情を崩すんだ。
「何か感じたのかい？ あの兄弟に」
「……分からない。でも、泣いてたから……自分はまた悲しいと、寂しいと思ったんだと思う」
自分の事なのに他人事の様な言い方だ。……まあ、ある意味他人事なのかもしれないね。あの日、星章学園との試合の彼女を見てしまった以上、僕は今のAが別人のように見えるんだ。
変な話だ。僕は今の彼女しか知らないというのに。
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恵野(プロフ) - 青碧さん» コメントありがとうございます。惹かれるなんて嬉しい言葉、ありがとうございます…！ 実は書きながら履修している状態だったりします汗 ちょいちょいオリジナル展開を挟ませていただいているので、履修する際はお気を付けください…！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 78dc1b910c (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 初めまして、青碧と申します。文章の書き方に惹かれて気づいたらここまで読んでおりました…そのくらい惹き込まれる展開でございました！アレスは未履修ですが楽しく読ませていただいております！これからも応援しております！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: d3cfc8958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年11月7日 15時
