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話に区切りが付き、早速練習に入ろうとした時だ。
「！」
聞こえた音。それはボールを蹴った音。その音が聞こえた方へ振り返れば、俺の予想通りボールが見えた。しかもそれはこちらへと向かってくるではないか！
「っ！」
俺はそのボールを真上へと上がるよう蹴り、落下してきたそれを片手でキャッチした。……そして、このボールを蹴った本人がいるであろう場所へと視線を向ける。
「何をするんだ、いきなり！！」
そこには俺の予想通りの人物……吉良ヒロトがいた。緑川はヒロトへと吠えるが、向こうはニヤリと笑いこちらを見下すのみ。
「あっ、おい！！」
ヒロトは何も言う事なく立ち去った。緑川が隣で怒りの声をヒロトにぶつける中、俺はある事を思い出していた。
『また行くの？ 父さんに怒られちゃうよ』
『でも、ヒロ君寂しそうだったよ』
Aちゃんは周りの目を盗んではよくヒロトのいる家へと遊びに行っていた。いつの間にかいなくなっていて、探しに行けば大体そこにいるなんてこと、一種のお決まりみたいな感じだったと、今では懐かしい思い出だ。
俺とヒロト、そしてここにはいないAちゃんは共通の思い出がある。それは、『一緒にフットボールフロンティアに出よう』という夢だ。……しかし、Aちゃんはその夢を叶えることはできなかった。何故なら彼女は彼女の祖父母に引き取られてしまったからだ。
「……お前は覚えているか」
俺とAちゃんの一方的な誘いだったけれど、あの時話した夢が今現実になろうとしている。俺はお前と一緒にフットボールフロンティアに出られて嬉しいんだ。なのに、あいつがサッカーをしている姿は楽しそうにみえない。
「……俺、探してくる」
「えっ、おいタツヤ！！」
後ろから聞こえる緑川の声を無視して俺はグラウンドを後にする。ヒロトがどこへ向かったのかなど検討はないが、まだ近くにいるはずだ。
走り回って部屋のドアを開けて、また走り回って、部屋のドアを開けて……それを繰り返していると、ようやく辺りの部屋を見つけた。
「ヒロト。いい加減にしろ」
ドアを開けば、椅子に座って携帯を眺めているヒロトがそこにいた。ヒロトはこちらに気づくとジト目で俺を見た。
「来んじゃねーよ」
「どうして練習に参加しない？ 俺達は真剣にフットボールフロンティアを戦っているんだ！」
「いいじゃねーか。勝ち抜いてんだから」
そう言って携帯に目を落とすヒロト。その携帯には先程チームメイトとの会話に出てきたA選手が映っていた。
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恵野(プロフ) - 青碧さん» コメントありがとうございます。惹かれるなんて嬉しい言葉、ありがとうございます…！ 実は書きながら履修している状態だったりします汗 ちょいちょいオリジナル展開を挟ませていただいているので、履修する際はお気を付けください…！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 78dc1b910c (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 初めまして、青碧と申します。文章の書き方に惹かれて気づいたらここまで読んでおりました…そのくらい惹き込まれる展開でございました！アレスは未履修ですが楽しく読ませていただいております！これからも応援しております！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: d3cfc8958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年11月7日 15時
