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「……どうしたのですか」
「だって、Aさんからお礼を言われるとは思ってなかったから」
「何故です」
「うーん……イメージがなかったから、ですかね？」
「……イメージ」
「Aさんはどこか野坂さんに似た雰囲気を持ってるからさ。近寄りがたいけど、頼りになる。そんな感じ」
「……なるほど」
「そもそも、Aさんとこうして話せていること自体実感がまだわかないな。思ってた以上に話しやすいし」
今まで周りからどう思われているのかなど考えた事なかった。王帝月ノ宮は勿論、それ以外からも。
「……それは、プラスの意味で捉えてよいのでしょうか」
「うん。また機会があればこうしてお話ししたいなっ」
そう言って笑顔……というものをこちらに向けたのは道場だ。彼の隣にいる谷崎も自分を見ながら頷く。
「……誰かと話す。今まで意識したことはありませんでした。ですが……こんなにも軽やかな気分になるのですね」
そう思えるようになったのは、きっと氷浦のお陰だ。彼からは王帝月ノ宮では学べない様々な事を教えて貰った。
「なんだか、Aさん変わりましたね」
「変わった……？」
「うん。それも良い方向に。初めは冷たい人だなって思ってたんだけど、最近はそんなことあんまり感じないよ」
「なるほど……」
言われてみれば、今までチームメイトと今のように話す機会はなかった。練習の時と試合の時のみ、必要な会話をするだけだったから。
……では今、二人と話している内容は必要な会話なのだろうか。
「そろそろ戻らないとな」
「またね、Aさん」
考え込んでいると二人がこちらを振り返っている。どうやら自室へ戻るらしい。こちらへ手を振る道場と微笑みを向ける谷崎へ、自分は氷浦から教わった言葉を口にした。
「またな、二人とも」
「！ うん、また」
「はい！」
自分の言葉にまた目を丸くさせた二人だけど、すぐにいつもの表情へ戻り部屋を出ていった。
「……胸が、暖かい」
たまに氷浦と話す時に感じるもの。これを氷浦は”楽しい”と教えてくれた。自分は今、二人と話すことが楽しいと感じていたのだろう。
「……ゆうま」
ゆうまにも感じてほしい。自分の抱く楽しい感情を。
だけど、自分にゆうまを楽しいと思わせる事ができるだろうか。言われたことをこなすことしかできない自分に。
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恵野(プロフ) - 青碧さん» コメントありがとうございます。惹かれるなんて嬉しい言葉、ありがとうございます…！ 実は書きながら履修している状態だったりします汗 ちょいちょいオリジナル展開を挟ませていただいているので、履修する際はお気を付けください…！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 78dc1b910c (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 初めまして、青碧と申します。文章の書き方に惹かれて気づいたらここまで読んでおりました…そのくらい惹き込まれる展開でございました！アレスは未履修ですが楽しく読ませていただいております！これからも応援しております！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: d3cfc8958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年11月7日 15時
