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『ごめんね、ヒロ君……私、ここを離れなきゃいけなくなっちゃったの……っ』
その日は雨が降っていた。
雨の日はAは来ない。なぜならサッカーができないから。それは二人の間で自然と決まっていたことだった。だか、その決まりを破りAはやってきた。身に付けていた服と、綺麗なベージュ色の髪を濡らして。
Aは髪や服だけでなく、顔も濡れていた。あいつの顔が濡れていたのは、雨だけのせいじゃなかった。彼奴自身の目から流れる涙も、濡れている原因の一つだった。
『もう、会えないのか……？』
『いやだ……っ、離れたくない……！』
俺にしがみつくAにどんな言葉を掛けたら良いか分からない。Aがいなくなるという事実も合わさって言葉が見つからなかった。
『……！』
その時、俺の視界に入ったのはサッカーボールだった。それを見た瞬間、俺はある言葉を思い出した。
”いつかさフットボールフロンティア一緒に出てさ、そんで日本一目指そうよ！”
いつの日かタツヤが俺に向けて告げた言葉。俺はあの言葉に『興味ない』と告げたが……。
『フットボールフロンティア』
『え……？』
『それに出ればまた会える。全国大会なんだろ？』
『……！ うんっ、頑張る！ フットボールフロンティアに出られるように！』
『よし、その意気だ！』
金色のような綺麗な瞳から零れていた涙が止まった。それと同時にAは笑顔を俺に向けた。その笑顔は俺にはいつも眩しかった。その眩しい笑顔をしばらく見る事ができなくなる事に寂しさを覚えていたけど……フットボールフロンティアに出られればまた会える。
その気持ちを持って俺達は別れた。必ず会えるとも限らない約束を交して。
「……またこの夢か」
目を開ければ見慣れた天井。俺の部屋だ。
フットボールフロンティアに出場する事になってから俺は、この夢を度々見るようになった。
そろそろ10年経とうとしているが、彼奴の顔はよく覚えている。だがそれはガキだった頃の彼奴の顔だ。
「……AA、か」
あいつと同じ名前で、どことなく顔も似ている選手が王帝月ノ宮という学校にいる。その存在を知った俺は、いつの間にかその選手について見るようになった。……あいつだっていう確証もねーのにな。
名前は一緒でも苗字が違う。たまたま名前が一緒で、たまたま姿形が似ているだけかもしれない。けど、あいつであってほしいと心の何処かで思う自分がいるんだ。
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恵野(プロフ) - 青碧さん» コメントありがとうございます。惹かれるなんて嬉しい言葉、ありがとうございます…！ 実は書きながら履修している状態だったりします汗 ちょいちょいオリジナル展開を挟ませていただいているので、履修する際はお気を付けください…！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 78dc1b910c (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 初めまして、青碧と申します。文章の書き方に惹かれて気づいたらここまで読んでおりました…そのくらい惹き込まれる展開でございました！アレスは未履修ですが楽しく読ませていただいております！これからも応援しております！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: d3cfc8958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年11月7日 15時
