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『おーい！ いますかー！？』
『……お前。父さんから来ちゃダメだって言われてるのに、また来たのかよ』
あの出会いがあってから、少女……Aは以前より屋敷を訪れるようになった。どうやら少年……タツヤや他の子供達の目を盗んで来ているらしかった。
『だって、貴方のこともっと知りたいんだもん！』
あと、隠れる気が全くない。だから親父に見つかって施設に強制的に帰らされる。あの頃はそれが一種のお決まりになってたっけな。
『ねぇねぇヒロ君！ 私にもアレ、教えてよ』
『ヒロ君って呼ぶな』
『なんでー！？ 私、ヒロ君ともっと仲良くなりたいだけなのに！』
ぷくっと頬を膨らませて怒っている素振りを見せたA。はっきり言って全く怖くない。
『……俺と仲良くなって何か意味があるのかよ』
『え？ 意味がないとダメなの？』
『フットボールフロンティアって奴に俺を出したいだけなんじゃねーの』
『ヒロ君が嫌ならもう言わないよ。でも、私はヒロ君と一緒にサッカーしたい！』
ほらっ、外に出たならやろ？
そう言ってAは俺をいつも連れ出すんだ。
あいつは俺が言わないだけで分かっていたのかもしれない。俺がいつも孤独を感じていて、誰かに見て欲しいと思っていた事を。ガキだった俺はAに連れ出して貰えることが嬉しかった。
たまにAが来ない日があった。それは体調が悪かったとか、人の目を盗んでここに来れなかったとか、そんな理由だ。その理由を俺が知るのは、次にAが来た時だ。その理由が分からないままその日を過ごすことをいつの間にか俺は”寂しい”と感じていた。
『私、ちょっとは上手くなったかなぁ？』
『当たり前だろ。何たってこの俺が見てやってんだから！』
俺がサッカーをする姿をキラキラとした目で見つめるA。その視線が当時の俺には心地が良かった。
何よりも俺自身を見てくれていたから。それが嬉しかったんだ。
毎日代わり映えのない日々に色を付けた存在。それがAだった。一度だけ彼女の兄だという人と合わせて貰ったことがあるが、それっきり。タツヤと会ったのもあの日が一度だけだった。
Aだけが言いつけを破ってまでも俺に会いに来てくれる存在だったんだ。あいつがいるだけで毎日が輝いて見えたんだ。……だけど、その日々は続かなかった。
＿＿＿Aが孤児院を離れる事になったからだ。
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恵野(プロフ) - 青碧さん» コメントありがとうございます。惹かれるなんて嬉しい言葉、ありがとうございます…！ 実は書きながら履修している状態だったりします汗 ちょいちょいオリジナル展開を挟ませていただいているので、履修する際はお気を付けください…！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 78dc1b910c (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 初めまして、青碧と申します。文章の書き方に惹かれて気づいたらここまで読んでおりました…そのくらい惹き込まれる展開でございました！アレスは未履修ですが楽しく読ませていただいております！これからも応援しております！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: d3cfc8958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年11月7日 15時
