128 ページ36
・
「王帝月ノ宮。その学校はアレスの天秤システムという教育システムのプロモーション活動のためにFFに参加しています」
「アレスの天秤……随分とお洒落な名前だね。具体的にどんな教育システムなんだい？」
「俺が調べた限りでは、コンピュータによって個人に最適なプログラムを組まれ教育を受ける……一種の英才教育のようなものです」
「そんな教育システムをプロモーションしているってことは、当然王帝月ノ宮の選手はそのアレスの天秤っていうものを受けた選手ってことだよね」
「その通りです」
「……それで、Aも受けてる可能性があるってことかい？」
聞いただけだと興味深いシステムだと思った。コンピュータの精度が高いのであれば、その教育方法はレベルの高いものだろう。なのに三人の表情は暗い。……なにか裏があるのか。
「……Aは確実にアレスの天秤システムを受けています。ですが……」
鬼道君が言葉を詰まらせる。その様子はこの先を言いたくないと言っている様に見える。そんな鬼道君を見かねてか、風丸君が口を開いた。
「＿＿＿Aは、そのアレスの天秤システムを受けた影響で記憶を失っている可能性が高いんです」
「！！」
記憶を失っている。その言葉に俺の心臓が大きく脈打った。
……それじゃあ、今まで連絡の一つも寄越さなかったのは……。
「Aは、俺の事を忘れたって言うのか……？」
”兄さん！”
昔の俺を彷彿させる髪を靡かせながらこちらを振り返るAが浮かぶ。……だが、すぐにその顔は無へと変わる。まるで俺の事を知らないと言うような目でこちらを見るAが浮かぶ。
考えたくなかった。Aが俺を忘れるなんて事を。
「……いつ、それが分かったんだい？」
「始めにそれに気づいた……というより、そう思ったのは俺です。星章……鬼道が派遣された学校との試合の後、偶然見つけたんです。倒れているAを」
「たおれ……？」
「始めに俺を見たとき、あいつは俺の事を認識してなかった……俺を覚えていなかったんです。ですが、その後……Aが俺を呼んだんです。苦しそうに、俺を」
俯いていた顔を上げ、豪炎寺君を見る。彼の黒い瞳と視線が合う。豪炎寺君の言葉は嘘偽りないと物語っているように俺は見えた。
「それを聞いて俺は思ったんです＿＿＿あいつは記憶を奪われたんです。誰かの手によって」
豪炎寺君の言葉に俺はあることを思い出した。
それはあの日、遺体安置室の前で看護師に言われた言葉だった。
･
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 103人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恵野(プロフ) - 青碧さん» コメントありがとうございます。惹かれるなんて嬉しい言葉、ありがとうございます…！ 実は書きながら履修している状態だったりします汗 ちょいちょいオリジナル展開を挟ませていただいているので、履修する際はお気を付けください…！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 78dc1b910c (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 初めまして、青碧と申します。文章の書き方に惹かれて気づいたらここまで読んでおりました…そのくらい惹き込まれる展開でございました！アレスは未履修ですが楽しく読ませていただいております！これからも応援しております！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: d3cfc8958d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：恵野 | 作成日時：2021年11月7日 15時
