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「野坂」
「……岡野先輩、花咲先輩」
控え室で着替えていると二人が声を掛けてきた。別に珍しいことではない。
「何の用ですか」
「さっきの。流石にAが可哀想だ」
「可哀想？」
「お前見たのか？ A＿＿＿泣いてたぞ」
「！」
あの後、一方的に言葉をぶつけてAから離れた。彼女には心がない。だから特に気になどしていなかった。……今、二人から彼女の事を聞くまでは。
「……だから何だって言うんです？ 彼女が泣いていようが僕には関係のないことです」
「お前の言葉に傷付いたとしてもか」
「おかしいですね。彼女には感情がない。僕の言葉に心が痛むなどおかしな話ですよ」
そう。おかしな話なんだ。僕の言葉程度で傷付くなんて。……そう思いたいのに、ここ最近の彼女の様子を思い返したら、可能性は0でないと思っていた。
所々で彼女に感情があると思う部分があった。だけど、それは全て王帝月ノ宮とは関係のない事でだったはずだ。どうして今更……
「嫉妬してんだろ」
「！ ……嫉妬？」
「たまに言ってるぜ。雷門が気になるとかどうとか」
「詳しくは知らないけど、お前がA関連で気にしているのはそこが関係しているんだろ？」
嫉妬
言葉の意味は知ってる。意味は二つあり、一つは自身より優れた相手に対する劣等感などから生まれた羨みから妬みへと感情が変換されること。もう一つは……自身に向けられた感情、主に愛情を指すことが多いが、それが他の人間へと向けられる事に対する恨み、憎むことだ。
僕は彼女の事を優れた選手だと思っている。だが、彼女を見て劣等感を抱いたことなど一度もない。そうなれは必然的に二つ目の意味になるわけだが……
「僕が嫉妬？ 誰に？ Aに嫉妬しているとでも？」
「いいや、Aじゃなくて……雷門だよ」
僕が、雷門に……氷浦君に嫉妬している？
この僕が……Aが氷浦君に興味を示していることに対して嫉妬している？
「あり得ません。勘違いですよ」
そう言って僕は先に控え室を後にした。僕の後ろを西陰が着いて来る。……いつもならAも一緒に着いてくる。だが、今日は姿がない。何故ならあの場で突き放したからだ。
……それでも彼女は着いてくる。そう思っていたけど、ちょっと思い込みすぎてたかな。
「……良かったのですか？」
「西陰まで言うのかい？ その内着いてくるようになるさ」
……そう思うのに。
どうして心が晴れないんだろう。
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恵野(プロフ) - 青碧さん» コメントありがとうございます。惹かれるなんて嬉しい言葉、ありがとうございます…！ 実は書きながら履修している状態だったりします汗 ちょいちょいオリジナル展開を挟ませていただいているので、履修する際はお気を付けください…！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 78dc1b910c (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 初めまして、青碧と申します。文章の書き方に惹かれて気づいたらここまで読んでおりました…そのくらい惹き込まれる展開でございました！アレスは未履修ですが楽しく読ませていただいております！これからも応援しております！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: d3cfc8958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年11月7日 15時
