125 ゴッドストライカーと永世の貴公子 ページ33
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「試合終了ーーーーッ！！ 準決勝進出は王帝月ノ宮だーーーー！！！」
ホイッスルが鳴り響き、第三試合が終了した。
初戦の星章と比べると物足りない。ま、それは第二試合の対戦チームにも言えたことだけれど。
監督の男の言葉を適当に聞き流し、解散の合図を出された。それぞれが控え室へと足を進める中、僕も向かおうと足を動かそうとした時だ。
「ゆうま」
後ろから聞こえた声に足を止める。振り返ればそこにはAがいた。
「……何？」
「明日、雷門の試合だよね？ 自分も連れていってほしい」
いつもは僕から誘って連れて行っていた。だから彼女から連れて行って欲しいという申し出があるとは思わず、少し驚いてしまった。
「……ゆうま？」
いつもなら断る理由もないから頷いただろう。だけど、今の僕は彼女の言葉に頷くことにためらいを覚えていた。
「珍しいじゃないか。自分から行きたいなんて言うなんて。どういう心境だい？」
「しん……？」
「今まで雷門の試合を見たいなんて言わなかったじゃないか。……そんなに氷浦君の姿を見たいのかい？」
「！」
氷浦君の名前を出すと、Aは分かりやすく反応した。……予想通りだ。いくら表情が無であろうとも、彼女はどこか分かりやすい。最近の行動から簡単に予想できるのもあって余計に分かりやすい。
先週、雷門と白恋の試合後に別れた後、彼女は門限ギリギリの時間に帰寮したらしい。全寮制である王帝月ノ宮だが、流石に男女別々だ。彼女の帰宅が遅かったという情報は、彼女の部屋の隣である女子生徒に尋ねたのだ。
あの後位置情報を元にどこにいるかは把握していたけれど、何をしていたかまでは分からない。……普段の様子と変わらないかなとは思ったのは勘違いだったようだ。明らかに氷浦君に何か影響されている。そうでなきゃ、彼女自ら行動を起こすなんて事あり得ない。
「……氷浦と約束した。試合見に行くと。だから、」
「君を連れて行けって？ 今度の試合に」
「……うん」
「行きたいなら自分の足で行けばいい。別に僕が連れて行かなくても会場は逃げないよ」
それだけ言って僕は彼女から背を向け、足を進めた。彼女をその場に置き去りにして。
……だから気づかなかったんだ。
「……ゆうま」
＿＿＿彼女の瞳に涙が溜まっていたことに。
震えた声で僕を呼んでいたことを。傷付いた表情で僕の姿が見えなくなるまで見つめていたことを。
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22.05.23 サブタイトルに貴公子君追加
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恵野(プロフ) - 青碧さん» コメントありがとうございます。惹かれるなんて嬉しい言葉、ありがとうございます…！ 実は書きながら履修している状態だったりします汗 ちょいちょいオリジナル展開を挟ませていただいているので、履修する際はお気を付けください…！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 78dc1b910c (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 初めまして、青碧と申します。文章の書き方に惹かれて気づいたらここまで読んでおりました…そのくらい惹き込まれる展開でございました！アレスは未履修ですが楽しく読ませていただいております！これからも応援しております！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: d3cfc8958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年11月7日 15時
