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「野坂に行くなって言われたのに来てくれたのか？ どうして？」
純粋な疑問だった。
そんな俺の問いにAさんは迷う事なく口を開き、こう答えた。
「＿＿＿ゆうまの命令より、貴方のお願いを叶えたいと思ったからです」
まだ出会って、こんな風に話すようになったのは最近であるというのに、彼女は俺よりも長く一緒にいる野坂より俺を優先した。
その事実を知り、何故か胸が暖かくなる感覚がしたんだ。
「野坂より、俺を……？」
「試合が終わった後に思い出したのです。雷門に勝って欲しいと思った事を」
「！」
「今までそんなこと考えたことありませんでした。ゆうまに連れ出されて、あなた達の試合を見るだけでした。ですが、試合前に氷浦が『嬉しい』と言っていた事を思い出した時、そう思ったのです」
『それでも嬉しいよ。絶対勝つから見てて』
彼女の言葉を聞き、俺は試合前にAさんと話した内容を思い出す。……確かに言った。嬉しいと言った。
「いや、別に深い意味はなかったんだ……！ その、えっと……」
無意識に言った事を覚えられていた事に少しだけ慌ててしまう。でも、上辺ではなく本心であったのは間違いない。
今まで俺達の試合を見たとは言っていたけれど、もし今日の試合でAさんがサッカーに対する認識が変化すれば……そんな意味で言ったんだ。
「ど、どうだったかな？」
「試合のことですか？」
「うん。見てどう思ったのか聞きたい」
俺の問いにAさんは少し考える素振りを見せ、こちらを向いた。
「綺麗でした」
「き、綺麗？」
「はい。”氷の矢”。貴方の必殺技、とても綺麗でした」
「！」
今までそんなこと言われたことなかった。魅せるプレイとか考えた事ないし、そもそも意識してない。
Aさんは相手を魅了させるプレイをしていたという。当の本人はそれを意識していたわけではなかったらしいが、自覚はしていた……みたいな内容を見たことある。
相手を魅了するプレイをする彼女から、俺の必殺技を見て惹かれたと言って貰えるのは嬉しい。でも、それは決して”元雷門のAA”としてではなく……
「＿＿＿ありがとう、嬉しい」
大切な人のためにサッカーをするAさんにそう思って貰えた事が嬉しいんだ。それって、ただ純粋にプレイを見て思った感想だってことだろう？
きっと自分以外のためにサッカーをする人からはそんな言葉、出ないと思うんだ。
だから、今日の試合でAさんのサッカーに対する認識を少しだけ変えられた気がしたんだ。
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恵野(プロフ) - 青碧さん» コメントありがとうございます。惹かれるなんて嬉しい言葉、ありがとうございます…！ 実は書きながら履修している状態だったりします汗 ちょいちょいオリジナル展開を挟ませていただいているので、履修する際はお気を付けください…！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 78dc1b910c (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 初めまして、青碧と申します。文章の書き方に惹かれて気づいたらここまで読んでおりました…そのくらい惹き込まれる展開でございました！アレスは未履修ですが楽しく読ませていただいております！これからも応援しております！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: d3cfc8958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年11月7日 15時
