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「諦めない、心……」
僕の言った言葉を小さく復唱しているA。……今の君には理解出来ない類いのものだろう。だから何度も口にして、どんなものなのかインプットしようとする。でもね、感情を失った今の君じゃ、その意味を理解することはできない。
……そう、思ったのに。
「そうだ。自分は……”僕”は。諦めたらいけないんだ……。諦めたら……！」
まただ。また見る事が出来た。本当の君を。
だけど今僕の視界に映ったAの横顔は、普段の彼女を残しつつも、どこか執念のようなものを感じたんだ。
……その執念は君が
「A」
「！ ……何」
「諦めない心、理解できた？」
「……できない。よく分からない」
でも、とAは言葉を続けた。まだ続きがあると間接的に伝えてきた。
「雷門を見ていれば……理解できるかもしれない」
「どうしてそう思うんだい？」
「だって、雷門のような人達の事を”諦めない心”を持つ人間って言うんでしょう？」
そう言った彼女の表情は無であるはずなのに……どこか楽しそうに見えたんだ。
「……断定した覚えはないよ」
「そっ、か」
そう返答すると、少し残念そうな声が返って来た。心なしか少ししょんぼりしているようにも見える。
「……なんだ、この気持ちは」
さっきも感じた気持ち。
別にAが何に対し興味を持ち、関わりを持とうが僕には一切関係のないことだ。オーナー達が気にするかもしれないけど、僕が彼女の周りについて気にする必要などない。
……なのに、どうして。
「あ、吹雪アツヤがシュートを打った」
彼女の目線が他へと向いてしまうことに、苛立ちを覚えているんだ。それと同時に胸も何処か痛む。……初めはそんなこと微塵も感じなかったと言うのに。
「あのシュートを二人がかりで打ち返した……ゆうま？」
今感じていた苛立ちが、金色のような黄色い瞳を向けられた瞬間段々と収まっていく感覚がする。……原理が分からない。どうしてAが僕を見ただけで収まった？
「試合、見てた？ 雷門、点入ったよ」
「……うん、見てたよ」
まだ少しだけ胸が痛い。
前にAも胸が痛いと言っていた。それは今、僕が感じているものと同じだったのだろうか。
まだ僕には他の副作用が隠れていたのだろうか。近々また診てもらう機会がある。その時に調べて貰えば良い。僕は目的を果たすまで倒れる訳にはいかないのだから。
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恵野(プロフ) - 青碧さん» コメントありがとうございます。惹かれるなんて嬉しい言葉、ありがとうございます…！ 実は書きながら履修している状態だったりします汗 ちょいちょいオリジナル展開を挟ませていただいているので、履修する際はお気を付けください…！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 78dc1b910c (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 初めまして、青碧と申します。文章の書き方に惹かれて気づいたらここまで読んでおりました…そのくらい惹き込まれる展開でございました！アレスは未履修ですが楽しく読ませていただいております！これからも応援しております！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: d3cfc8958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年11月7日 15時
