父親の存在 中編 ページ43
「貴方これからどうするの？」
一度、私を勘当しやがった御宿の実家に
行く事を考えもしたが、
私という存在のせいで未来に
響くような騒ぎは起こしたくはない。
それに元住んでいた家には誰かが住んでいる事だし…
「さぁ…野宿？」
私はため息を吐いて頭を抱える。
「家の人は？」
何十年前かもわからない、
私という存在すら生まれていない過去に
私の知り合いがいる訳がない。
「両親はいないし…
今のところ頼れる人もいない。」
「そうなの？
親もいないのね、私と同じ。」
「レイコさんも？」
「えぇ、」
そう言って頷くレイコさん、
少し微笑んで言ってくる感じ
私を少しでも慰めようとしてくれていた。
「一緒なんだね。」
そう言いながらふと上を見上げると
日は殆どくれており、
空には星がいくつか見え始めていた。
「レイコさん、私は大丈夫だから…
そろそろ家に帰りなよ。」
「ううん、私はいいのよ。」
「いや、
女の子が暗くなってからじゃあ、
あれだし。」
「気にしないで。
それにAも女の子じゃない。」
「いやいや、私は大丈夫だから。」
「じゃあ、一緒に家に、」
そこまで言うと、彼女は黙りこむ。
「は、やめた方がいいわね。
私が何か頼める立場にいる訳でもないんだし…」
「…。」
苦笑いしか返せない…
さっき親がいないと言っていた所もあり、
彼女の雰囲気からしてあまり良い家庭環境という訳ではないのだろう。
親…私の親…、
お母さん、そして…、
ある事に気がついた。
もしかするとこの時代に知り合いが
全くいない訳ではないんじゃないか？と。
私の中にいる一人の存在。
的場は彼の事を私の父親だといい、
そして妖達はこの存在を山神様と呼んだ。
つまりこの時代にも、
私の父親は存在しているのではないか？と…
その事に気づいたその瞬間、
私の中にいる何かか疼く感覚を
全身に感じた。
まるで、それが正解だ
とでも言うかのように…
「レイコさん！」
「急にどうしたの？A？」
「私、少し気になる事ができた！」
私は彼女を待たずに
ある場所へと走り出した。
「な、A？！
はぁ…また…とても急ね。
私よりもAって
破天荒じゃないかしら？」
そう呟くレイコさん。
でも困り顔の彼女の表情には
どこか楽しそうな、そんな雰囲気も垣間見えた。
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おぼろん(プロフ) - 豆腐の角さん» コメントありがとうございます！全然気にしないでくださいね。皆さんに見てもらえるだけでも嬉しいので！これからも頑張ります！ (2020年11月7日 6時) (
レス) id: a49c31890f (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の角(プロフ) - 二章目おめでとうございます！初めの一票取れませんでした………。これからも頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年11月6日 22時) (レス) id: d448052499 (このIDを非表示/違反報告)
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