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妖か人間か 後編 ページ41

ん?レイコさんには何か見えてんの?

それとも私の目がおかしくなった?

「いや、レイコさん…
あのー、何も…いないんすけど…」

「よし、見えるみたいね。」

「いやっ?!何の確認?!」

そう大声で叫んで私が彼女の服の裾を掴む。

「ふふ、
確かめるような真似してごめんなさい。
怒ってるかしら?」

「い、いや…別に…怒ってないけど。
でもなんでそんな面倒な事するんですか。」

鬱陶しいったらありゃしない。

私の質問に彼女は少し目を伏せる。

「あのね、A。
私、前にね…ある
おばあさんに話しかけたの。

私、友達とか、
知り合いとか無縁の人生送って来てたから…初めて人間と友達出来たと思って、
柄にもなく舞い上がっちゃったわ。」

「良かったじゃないですか。」

「ふふふ、それだけならね。

でもね…
私には見えていたけど…
他の人には見えていなかったみたい。」

「…、」

言い返す事も出来ず私は口籠る。

夕日に照らされた
その整った顔はまるで別世界の人でも見ているかのような気分にさせた。

「人かと思ってた、でもそれは私だけ。
実はあの人は妖だったの。

Aにも今までなかった?
人かと思って仲良くなったら妖だったって事…」

「わ、わかりません…」

「そう…」

もしかしたら、
ただ私が嫌な記憶と思い込み忘れたかっただけで、子供の頃にあったかもしれない…

見える者よりも見えない者の方が圧倒的に多いこの世界では、
当然のように少数派は淘汰される運命にある。

強い者はそれに屈することはないのかもしれないが、私のような人間は決して強いなんて言えない。

忘れていたとしても、
それらはこの魂に刻まれているのだ。
だからこそ、古傷が疼くように毎度感じる。

「悲しかったんですか?」

自分で発した言葉だというのに、
まるで私自身に聞いているかのような気持ちになった…

「ふふふ、どう思う?」

そう返す彼女。

私はやっぱり答えを返す事は出来なかった。

父親の存在 前編→←妖か人間か 前編



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おぼろん(プロフ) - 豆腐の角さん» コメントありがとうございます!全然気にしないでくださいね。皆さんに見てもらえるだけでも嬉しいので!これからも頑張ります! (2020年11月7日 6時) (レス) id: a49c31890f (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の角(プロフ) - 二章目おめでとうございます!初めの一票取れませんでした………。これからも頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年11月6日 22時) (レス) id: d448052499 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おぼろん | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2020年11月5日 22時

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