毒とは 前編 ページ28
「Aさん。
此処でも案外いけますね。」
「そうだな…」
ぽっかりと大きな穴が空いた天井を
二人見上げながらとても落ち着いた雰囲気の中、私達はお茶を啜る。
澄んだ空気のおかげで星の輝きを遮るものは殆どなく、まるで天の川を見ているかのように、幾千の星が散りばめられたいた。
「おや、もう寝てしまいましたか？」
「今日は七瀬さんにどこか連れて行って貰ったらしくて、」
「そうでしたか、
遊び疲れたのですね。
子供らしくていいですね。」
れいじ君は私の膝に頭を乗せながら、
小さな可愛らしい寝息を立てて夢を見ていた。
「Aさん、
お茶にはまた今度いきましょう。
今回はこれで我慢して下さいね？
このお茶も、お茶菓子も
何処のお茶屋には負けない一級品なので。」
そう言うと的場は
これは何処どこの産地で取れたもので、
なんていきなりお茶自慢をしてきた。
最初こそ、相槌を打っていた私だが、
途中でめんどくさくなり
そんな彼をバッサリと切り捨てた。
「ごめん、私。
馬鹿舌だから、
そういうのよくわからんわ。」
「貴方は随分と、
奢る価値のない方ですね。」
「いや、奢る前に
そう言うのやめてくれない？」
「そうでした、
まだ貴方には何も奢ってはいませんでしたね。」
何がおかしいのかクスクスと
笑うものだから何故か私もつられて笑ってしまった。
彼が口元に手を置いて小さく笑う、
それに対して私は手なんて添えるわけもなく上品のかけらもない笑い方。
「的場と私って、
同じような名家出身なのにだいぶ違うんだな。」
「えぇ、私もそう思います。」
そう言うと私の足元を見る的場。
胡座をかいて座っていた私は
彼のその目線の意味に気づいた。
今更恥ずかしさで足を動かそうとしても
膝の上にはれいじ君が眠っている、
故に動かせない。
「しかし、
貴方と私とではまず境遇が違うので
何とも言えませんね。」
彼はそう言うと私へと視線を向ける。
片方だけのその瞳は、しっかりと私だけを見つめていた。
「私は今の貴方のままが良いと思いますよ。
長い間、
この世界に身をおきながら
私とは違って貴方は一切、毒されていない。」
「っ、」
突然投げかけられた
その言葉によって私は急激に体温が上昇する。
「ば、ばっかだなぁ！
そんな事言っても、
一門には入らないからな！」
少し的場の口が弧を描いた。
「いいですよ、もう入らなくても。」
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おぼろん(プロフ) - 豆腐の角さん» コメントありがとうございます！全然気にしないでくださいね。皆さんに見てもらえるだけでも嬉しいので！これからも頑張ります！ (2020年11月7日 6時) (
レス) id: a49c31890f (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の角(プロフ) - 二章目おめでとうございます！初めの一票取れませんでした………。これからも頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年11月6日 22時) (レス) id: d448052499 (このIDを非表示/違反報告)
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