夏目の記憶 中編 ページ2
夏目視点(過去編2)
「…。」
彼は目の前の紅茶とケーキに一切手をつける事なく、一人ただそこに座っていた。
俺たちが注文した食事が来ても、
そして食べ終わっても、
ずっと彼は近くの木をどこか上の空で見ていた。
一人ぼっちで
寂しそうに座る姿が気になった。
きっと彼を昔の自分に重ねて
見てしまっていたのかもしれない。
「食べないの?」
つい、話しかけてしまった…
「え…?」
男の子は突然話しかけて来た事に
驚いたような不思議そうな顔をしたが、
少し間を空けた後、ぽつりと答えた。
「は、はい…食べません…
母上がくるまで…」
「そっか。お母さん早く来ると良いね。」
彼は少し俯くと首を横に振った。
「?」
「母上には少しでも長く、
向こうに居て欲しいです…」
彼はそう言うと寂しそうに、
ギュッと自分の服を握る。
「そうなんだ…」
お母さんには戻って来ては欲しい、
でも、彼女の幸せを考えたら、
少しでも長く向こうにいた方がいいと言う事だろうか?
とても複雑な事情があるのだろう。
今日はじめて会った彼の事がよくわからない俺には、なんとも言えない。
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おぼろん(プロフ) - 豆腐の角さん» コメントありがとうございます!全然気にしないでくださいね。皆さんに見てもらえるだけでも嬉しいので!これからも頑張ります! (2020年11月7日 6時) (レス) id: a49c31890f (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の角(プロフ) - 二章目おめでとうございます!初めの一票取れませんでした………。これからも頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年11月6日 22時) (レス) id: d448052499 (このIDを非表示/違反報告)
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