7.T & Ki ページ8
T side
藤ヶ谷が辞去すると、間もなく宮田が顔を出した。
M「相変わらず、堅物だね…弟君は」
T「宮田、やめろ」
宮田は、天皇家に類する宮家の血筋だ。
だから、幼い頃からの仲で、何かとオレを心配して世話を焼いてくれる兄貴分だ。
表向きは、太輔は宮家から太政大臣である藤ヶ谷家に養子に出されたコトになっている…だが、実際は違う。
オレより3つ上の宮田は、その辺りの事情には詳しい。
M「でも、本当にあの藤ヶ谷殿の想い人が、まさかあの内大臣家の御曹司とは…」
T「初めて口聞いたけど、すごく可愛い子だよね。確かに、太輔が想いを寄せるのも分かる」
M「タマさん、本気じゃないよね⁈」
T「本気って?」
M「いや、だから…」
藤ヶ谷の想い人は、まるで仔犬みたいな童顔の少年だった。
最初、宮中の祭祀でそれに気付いた時、まさかと思った。
藤ヶ谷は、その複雑な生い立ちのために妻を娶ろうとはしない。
だから、同性に懸想を…そんな安易な考えは、馬鹿げていた。
内大臣に、ミツの結婚を具体的にけしかけたのはオレだ…じゃないと藤ヶ谷は動かない。
北山…宏光…
純粋無垢な瞳に映るオレの姿に見惚れていたミツ…お前は、今日オレにとって欠かせない存在になったんだ。
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Ki side
夜間・昭陽舎ーー。
亥の刻(22時頃)を回る頃、オレは藤ヶ谷と共に梨壺の敷地内の夜間警備に当たっていた。
日中の公務を終えて、控えの間である
普段、勤務する省庁が異なる藤ヶ谷と宿直当夜が重なっても、同じ場所の警備に当たったコトなど無い俺は、どうしたって緊張する。
気がついたら、自然と無言だった。
F「昼間の…」
だから、最初藤ヶ谷が何を言っているのか分からなかった。
F「東宮殿下…どう思った?」
Ki「どうって…」
今だって、思い出すだけでも赤面する。
憧れの存在が、あんなお側近くに来て下さったのだ。
もうあんな幸福な瞬間は、二度とないんじゃないだろうか、とすら思える。
F「分かり易いな、北山は」
Ki「え…」
F「きっとこの先、こんなコトは何度も起きる。覚悟しておくんだな?」
Ki「それって…」
藤ヶ谷に言葉の意味を確かめている余裕はなかった。
バタバタバタ……
ガタンッ…‼
「大変だ! 東宮様の寝所近くに、侵入者だ…‼」
渡殿から響いたその声に、俺たちはハッとした。
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時