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16.F & Ki ページ47

F side




T「本当はね、彼奴を死罪にしてやりたかった。だって、父上は…オレのせいで…」


それは、畏れ多くも先代帝…オレたちの実の父親を暗殺した元叔父のコトだ。

事件以降、養父の妹君の婿養子だった義理の叔父は離縁され、藤ヶ谷家から除籍された。



F「よく堪えたな?」

T「彼奴を表立って罰すれば、太政大臣も辞任を余儀なくされる。そしたら…」

藤ヶ谷家の存続も不可能となり、養父は俗世から身を引いただろう。


F「裕太、オレの身の振り方については…」

もうそんなコトは、この寺院に移送された時点でオレの腹は決まっていた。

でも…


T「出家なんかさせないよ!」

F「裕太…」

T「ーーオレには、太輔が必要だ」


今まで、弟からの同じような懇願をそれこそ飽きる程聞いて来た。

だけど、今日の玉森は違っていた。


T「オレは、自らの運命を受け入れる。だから、側で支えて欲しい。ずっと…オレが天命を全う出来るように」

F「ダメだ! オレなんかが側にいたら、また…」

T「嫌だ! これだけは絶対に譲らない。太輔、これはお願いじゃない」


弟は、確かに政治向きじゃない。

権力の中枢に身を置くには、あまりにもその気質は無垢で優し過ぎる。

でも、オレが側に仕えていたら、また第二、第三の叔父のような輩が出て来るだけなのだ。


T「太輔なら、そんな輩の策略に陥ったりしない。…オレの自慢の兄貴だから」

誇らしげに微笑む玉森に、かつてとは違う頼もしさを感じた。


T「藤ヶ谷太輔、そなたの出家は許可しない。生涯、余に仕えるコトを命じるーー」



F「裕太…」

T「あとね、今日は太輔がずっと会いたかった人を連れて来たよ」


F「え…」



カタンッ…


その気配を感じて、視線の先に映った人物にオレは目を見開いた。


F「きた、やま…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Ki side



こうして藤ヶ谷と対峙するのは、あの襲芳舎焼失の夜以来だ。



Ki「…全部聞いた」


あの事件以降、俺は全てを知った。

今から、23年前ーーこの2人の兄弟の運命を決めた出来事だ。



Ki「ずっと苦しかった、よな?」

F「この世は、誰もが自分の立場を選んで生まれては来れない。苦しんでいたのは、裕太も同じだ」

Ki「…だな」


陛下が語った過去のその重大な決断には、先代帝だけでなく俺や藤ヶ谷の父親も関与していた。


T「オレが、男児として後に生まれたコトーーそれが、全ての誤算でありオレたちの運命を狂わせた元凶だった」

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設定タグ:藤北 , Kis-My-Ft2 , 歴史   
作品ジャンル:恋愛
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時

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