15.Ki & F ページ46
Ki side
奥京都・大原ーー。
2月末のその日、俺は陛下のお供をして雪深いその地を訪れた。
天皇家所縁の寂心院ーー
今上帝の暗殺未遂事件以降、藤ヶ谷の身柄が移された寺院だ。
あの事件で、藤ヶ谷の義理の叔父にあたる人物は、謀叛の罪により流罪となって京都を去り地方の島へ移送されて行った。
本来、死罪となってもおかしくない重罪…だが、陛下は頑なに死罪を拒んだと聞いた。
太政大臣「我が身内からこのような重罪人を出すとは、もはや陛下へ顔向けするコトも恐れ多く…」
太政大臣は、義理の叔父を即座に藤ヶ谷家から除籍し、大臣職も辞する旨の申し出が再三なされたようだが、同じく陛下からの許しは出なかったらしい。
……理由は、何となく想像がついた。
それはそうと、今年の年始に父上から言われたあの言葉の意味がやっと分かった。
内大臣「時に、宏光…私の杞憂ならいいが、太輔殿との距離は少し考えた方が良いかもしれん」
父上も、藤ヶ谷のその複雑な生い立ちに不安を感じていた一人だった。
今思えば、結局何も知らなかったのは…俺だけだったというコトになる。
そして、藤ヶ谷は……
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F side
大原・寂心院ーー。
朝から僧侶たちの様子がおかしいので、もしや…と思った矢先だった。
T「久しぶりだね…太輔?」
一月半振りに向かい合う玉森は、以前より少し精悍な顔付きになっていた。
T「太輔は、少し痩せたかな?」
会いたかった…と玉森は、目を細める。
T「全部、終わったよ……太輔」
あの夜、謀叛の罪で兵部省に捕らわれたオレはこの寺院に身柄を移された。
謀叛は、一番の重罪だ。
更に、先代帝の暗殺に関与したとあれば、死罪も覚悟しなければならない。
玉森がこの寺院を訪れたというコトは、オレの処罰が決まったのだ。
T「藤ヶ谷太輔ーー春になったら、中務省において復職を許す」
F「え…」
T「官位は、従三位だ」
F「はっ⁈」
一連の謀叛の首謀者である叔父に対して、流罪が言い渡されたと聞いた。
あの襲芳舎の火事も、単に篝火の不始末…で片付けられたコトも聞いた。
事件を表沙汰にはしないーーそれが、玉森の意思だろう。
でも、謀叛の罪で捕らわれたオレが官位昇格だなんて…正気の沙汰か?
T「本当は、皇嗣として正式に宮中に戻したい」
F「いや、それは…」
T「でも、太輔は嫌でしょ?」
だから譲歩した、と不満そうな玉森にオレは混乱した。
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時