11.Ki ページ42
Ki side
網代車から飛び降りた俺は、外気の凍てつく寒さに顔を顰めたが、そんなの一瞬で吹き飛んだ。
Ki「あれって…」
従者「あの方角ですと、宮中の…恐らく北側辺りでは…」
Ki「北側…」
宮中の最北に位置するのは、
だが、俺の知る限りその場所は先代帝の時から無人のはずだ。
Y「襲芳舎…、雷鳴壺…」
その殿舎の呼び名に、横尾さんの顔色が明らかに変わった。
Y「まさ、か…」
グイッ…‼
Ki「横尾さん、こっち来て! 他の者たちは、そこで待機していろ!」
俺は横尾さんの手を掴んで、網代車から少し離れた場所まで連れて行って2人きりになった。
Ki「横尾さん、何か思い当たるコトがあるんじゃない?」
Y「いや、私は…」
Ki「それって、藤ヶ谷のコトだよね⁈」
横尾さんの表情が強張ったのが、俺が正解を言い当てた証拠だと思った。
昼間、宮中であんな話を聞いて身体の震えが止まらない程驚愕した。
そして、今夜の陛下から託された封書ーー
あれは、まるで最期の別れの挨拶だった。
Ki「横尾さん、もう俺…何が何だか分からないよ。ねぇ、助けてよ、横尾さん!」
もうこれ以上は、抱え切れない。
俺は、洗いざらい全て胸の内を吐き出した。
Y「太輔が、宏光様を想っているコトは…」
Ki「…知ってる」
Y「昨夜、太輔から俺宛に文が届きました。ご兄弟である今上帝に対して、行動を起こすと…そう書いてありました」
Ki「行動を…起こす?」
今日、昼間のあの会話を思い出す。
藤ヶ谷が、異母兄である陛下に対して、何かの最終通告をしているようだった。
それって…
Ki「俺の…後宮入りを阻止するために、まさか…」
謀叛を起こして、陛下を討つーー
Y「いや、でも…太輔に限って…」
横尾さんの視線が不安定に揺れる…俺だって、信じたくない!
でも、藤ヶ谷は確かに何かを決断した。
しかも…
Ki「…陛下は、気付かれたんだ。異母弟の藤ヶ谷の意図に…だから、」
Y「襲芳舎は、9歳まで太輔が住んでいた場所なんです」
Ki「何だって⁈」
元宮家の皇族だと思っていた藤ヶ谷が、実は先代帝の皇子で…更には、ずっと無人だったはずの襲芳舎に住んでいた⁈
Ki「…俺のせいだ」
Y「宏光様⁈」
もう迷ってる時間は、ない。
Ki「横尾さん、俺は急ぎ宮中に戻る! 一緒に着いてきて…‼」
藤ヶ谷に、陛下を殺させてはダメだ…‼
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時