8.F & Ki ページ39
F side
北山への想いは、ずっと自分の胸だけに秘めておくつもりだった。
本人に打ち明けるつもりもなかったし、宮中で時折その姿を見るだけで幸せだった。
でも、玉森に露見した。
同じ父を持つ玉森は、あの穏やかな陽だまりのような柔和な笑顔の裏に別の顔を持つーーそれを知るのは、オレだけだ。
玉森にとって、北山はただの駒だ。
オレを支配するために、愛する人が苦しむ未来なんて絶対に見たくない。
オレたちは、兄弟だ。
だから、玉森を止められるのも…オレだけしかいない。
清涼殿・奥間ーー。
F「ーー北山から、手を引け」
T「突然来たかと思ったら、太輔ってばすごく怖い顔をして…ミツと何かあった?」
F「はぐらかすな!」
向かい合って対峙する玉森は、笑ってみせる…が、その目は笑っていない。
それは、他の誰にも見せない表情…そう、このオレ以外には。
T「ねぇ、一昨日の夜…ミツと何かあったでしょ?」
玉森は、もう全部分かってる。
T「火急の用件なんて嘘をでっち上げて、オレからミツを引き剥がして…かと思ったら、太輔、ミツを追いかけて行っちゃうし」
玉森は、まるで一昨日の夜の出来事を回想するように天井を仰ぐ。
T「そしたら、翌朝ミツはオレに姿を見せずに退殿した。きっとオレに合わす顔がなかったんだろうね」
F「なぁ、裕太…」
T「…ねぇ、まさかミツを襲った?」
噛み合わない会話は、敢えて玉森がオレに本題を言わせない為…
でも、もう我慢の限界だ。
F「裕太、もう一度だけ言う。北山から手を引け…これは、もうお願いなんかじゃない」
シーン…
静まり返った室内に、澱んだ空気が流れ出す。
T「太輔にとって、一番大事なのはミツなんだね」
玉森の寂しそうな声音…
T「ねぇ、太輔はオレと兄弟として生まれて…どんな気分だった?」
でも、オレに答える気はなかった。
T「オレのコト、ずっとどう思ってた…?」
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Ki side
…………‼‼‼
腰が抜けて、その場に座り込んだ。
清涼殿の奥まった位置にある個室…ここは、陛下がごく特別な時にだけ使う部屋だ。
謂わば、内々の用件で訪れた人物とのみ会う時に限られる。
そこに藤ヶ谷が入るのを見た、と同僚から聞いて、俺はすぐさまその場所に急いだ。
極秘の公務の打合せなんかじゃない!
俺には、瞬時にピンと来た。
だけど、まさか…
Ki「これが…昨日、横尾さんの言ってた…」
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時