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3.T & F ページ34

T side




女官「陛下、宮田様がお越しになられていますが…」


T「面倒だから、断って?」

M「…ゴメン、もう来ちゃった」

T「あのなぁ、それじゃ取次ぎの意味がないだろ!」


梨壺に居住していた東宮時代と違い、現在の住まいである清涼殿は、さすがに宮家でも好き勝手に出入りは出来ない。

秋のあの夜から、宮田の来訪頻度は群を抜いていた。



M「ねぇタマさん、もう解放してあげなよ?」

T「えっ…」

M「藤ヶ谷殿…さっき此処に来てたよね?」

咄嗟に目を逸らしたオレに、宮田は尚も続けた。

M「彼のコトはもう諦めた方が良い。そんなコトの為に、北山殿を後宮に入内させるなんて馬鹿げてるよ」

T「そんなコト⁈」

…聞き捨てならなかった。


T「お前にとっては、そんなコトでもオレにとってはそうじゃない。分かってないのは、そっちだろ⁈」

M「じゃあ聞くけど、北山殿を後宮に入れて…その後はどうするの? タマさんは、彼を抱くつもり?」

T「それは…」

実際、ミツが後宮入りを受諾すると言って来たのには驚いた。


M「俺はさ、タマさんが心配だよ」

T「オレが…心配?」

M「昨年春に先代帝が崩御されて、更には即位されて間もない秋に、今度はタマさんが…」

T「よせ、宮田」


宮中では、その件は箝口令が敷かれている。


あの事件で、清涼殿の寝所を襲った夜盗は未だ分かっていない。

いや、現行犯で捕らえない限り…決して犯人は露呈などしない。


権力を手にすれば、今度はそれを欲する別の誰かから命を狙われる。

…結局、それがこの世の摂理だ。



M「タマさん! 俺は嫌だよ。タマさんの身に何かあってからじゃ遅いんだ‼」

だから、と続ける宮田にオレは言葉を失くした。

M「今後、彼をあまりお側近くに置くのは…少し考えて欲しい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
F side




明らかに、気が立っていた。

玉森の居室を辞去して、清涼殿から退殿しようとした矢先…目的の人物を見つけた。


F「北山…」

大臣家の二階堂や千賀と連れ立って渡殿を歩いているその姿に、今までなら見て見ぬ振りをしたはずだ。

でも、今のオレには…無理だった。


T「ミツの後宮入りの話、聞いてるんでしょ?」

玉森の言葉が、脳裏に反芻する。


T「ミツは受け入れたよ」


…信じたくなかった。

あれだけ忠告したのに、何も伝わってないなんて…馬鹿にも程がある!


F「おぃ、きたや…」


次の瞬間…その声は、別の誰かに掻き消された。

4.Ki→←2.T



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設定タグ:藤北 , Kis-My-Ft2 , 歴史   
作品ジャンル:恋愛
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時

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