検索窓
今日:23 hit、昨日:8 hit、合計:166,000 hit

冬の章・冬桜 ページ32

Ki side




新しい年が、明けたーー。


一年の始まりの宮内省は、忙しい。

宮中祭祀が立て続けに訪れ、息つく暇もない日々だ。


そんな忙しい日々に身を置いても、あの日俺の胸に広がった疑惑は晴れるどころか深まるばかりだった。


元旦の朝ーー

父上に新年の挨拶をしたが、昨年春に厳命されていた結婚についてもう何も触れられなかった。


内大臣「宏光、今年も心を尽くし陛下にお仕えするよう肝に銘じよ」

Ki「畏まりました」

内大臣「時に、宏光…」

Ki「…⁈」






清涼殿・寝所ーー。


Ki「陛下、新年明けましておめでとうございます」

T「ミツ、今年もよろしくね」

Ki「はぃ」


陛下の召し替えの介助をしながら、俺の心は別の所にあった。

秋のあの夜から、陛下の身辺警護は強化されて物々しい雰囲気が続いている。

T「何か、落ち着かないよね?」


だから、あの件も実は進展していない。

T「もう少し状況が落ち着いてから、色々考えようと思ってる」

俺にとっては、むしろ好都合だった。

T「…だから、後はオレに任せて?」


考えてみれば、最初から俺に拒否権などあるはずがない。


今上帝の後宮に入るーー

その事実は、まだ陛下と2人だけの極秘事項だ。


Y「宏光様、宮中で何かあったんですか?」

俺の異変をいち早く悟った横尾さんにも、打ち明けるコトは出来なかった。


だって…横尾さんは藤ヶ谷と繋がっている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
F side




新年の宮中祭祀が一段落した日、玉森から呼ばれた。


T「太輔、怪我はどう?」

F「傷も完全に塞がったし、もう平気だ…ってとっくに報告を受けているんだろ?」

T「まぁね。だって、オレのせいで太輔は負傷したんだもん。宮内省から侍医を手配するのは、当然だよ」

でも、と続ける玉森は、複雑な表情を浮かべる。

T「太輔が無事で良かった。…右腕に刀傷が残ったのは、悔しいけど」

F「別に、どうってコトない」


女子ではあるまいし、身体に傷跡が残ったからって何だというんだ。

だって、この傷跡は…


T「ねぇ、太輔…オレ、ちゃんと話しておこうと思って今日呼んだんだ」

一瞬、身体が緊張で強張った。


T「オレは、太輔をまだ諦めてない。ミツの後宮入りの話、聞いてるんでしょ?」

F「裕太、お前まだ…」

そんなコトを言ってるのか、と言いかけたオレに玉森は不敵に笑う。


T「ミツは受け入れたよ。あとは、全てオレ次第…太輔、これでもまだオレを拒むつもり?」

2.T→←7.Ki



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (336 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
565人がお気に入り
設定タグ:藤北 , Kis-My-Ft2 , 歴史   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。