3.Ki & F ページ4
Ki side
Y「これは、藤ヶ谷様。道を塞いでしまい、申し訳ありません」
真っ先に退いて、進路を譲ったのは横尾さんだった。
Y「宏光様…」
その横尾さんに促されて、慌てて俺も二歩後ろに退がる。
さっきまで威勢が良かった二階堂や千賀も、弾かれたように道を空けて頭を下げた。
従者たちを連れて、無言で俺たちの前を通過する藤ヶ谷…一瞬、その視線を感じたような気がした。
Ki「……⁈」
藤ヶ谷太輔ーー
この宮中において、彼を知らない者はいない。
太政大臣である藤ヶ谷家の嫡男にして、元宮家の血筋を持つ公達だ。
見目麗しいというのは、藤ヶ谷の為にあるような言葉で、その匂い立つような色香には例え今上帝の妃ですら陥落すると言われる程だ。
色々な姫達との恋の噂が絶えない藤ヶ谷だが、
22になる現在も確か独身のはずだ。
2「相変わらず、スゴい迫力…今、空気が変わった気がした」
S「そりゃあ、正真正銘の宮家の血筋だからね。確か、後継ぎがいないから藤ヶ谷家に養子に出されたんでしょ?」
2「あの見た目…何度見ても、緊張するわ」
二階堂の言う見た目は、容姿端麗という意味だけではない。
宮家の血筋…つまりは、天皇家とも縁戚関係に当たる藤ヶ谷は、まるで今上帝の生き写しだ。
俺たちくらいの官位では、帝に謁見出来る機会など数多くない…が、初めて宮中に参内してその姿を見た時、息が止まりそうになったのを覚えている。
Y「では、宏光様。私はこれで失礼致します」
Ki「あぁ」
横尾さんは、北山家の家来に過ぎないので宮中への昇殿は叶わない。
だから、ここでお別れだ。
Y「宏光様、お帰りは…」
Ki「いや、今夜は
Y「畏まりました」
横尾さんと別れて二階堂たちと宮中に上がった俺だが、さっきの藤ヶ谷の視線が脳裏に焼き付いて離れなかった。
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F side
宮中・春興殿裏ーー。
F「渉、あの話は本当か⁈」
従者たちを待たせて、オレは別の廊下を取って返して内大臣邸に帰ろうとしていた渉が馬に乗る前に引き止めた。
横尾渉…
4年前のあの日まで、藤ヶ谷家に仕えていた家人…オレの親友とも言える間柄で、オレが今も心を許せる数少ない相手だ。
Y「あの話、とは?」
F「しらばっくれるなよ!」
思わず掴みかかりそうになった自分を必死に抑えた…だって、こんなの普段のオレじゃない。
Y「あぁ、みっちゃんの結婚のコト?」
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時