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3.Ki ページ27

Ki side




今夜、邸に藤ヶ谷が来ていた。


単に父上である太政大臣のお供だったらしいが、俺は目を疑った。

…本当、そのくらい驚いた。


そして、宴席から抜け出して来た藤ヶ谷は、今…私室である西の対屋で、俺と対峙している。

しかも…



Ki「藤ヶ谷……お前、それ…何、で……」


動揺するな、って無理だろ…⁈

東宮殿下…いや、今や即位されて黄玉帝となられた陛下からあの申し出を受けたのは、まだ夏の残暑が厳しい昼下がりだった。


T「でも、これはミツの気持ちが決まるまで誰にも口外するコトは許されない…いいね?」


だから、あれは極秘事項のはずだ。

いくら宮中一情報が集まる中務省の公達であっても、藤ヶ谷が知るはずがない!



F「…どうなんだ⁈」


Ki「どうって…」


まるで物の怪にでも憑依されたような藤ヶ谷の様子に、俺は気圧される。



F「北山……答えろ‼」


ビクンッ…!


沈黙を切り裂くような鋭い詰問に、俺は次の言葉が出なかった。


F「玉森が…」

Ki「え…」

F「……好きなのか?」


藤ヶ谷が口にしたその呼び名、俺の耳は聞き逃さなかった。


ギシッ…


藤ヶ谷が徐に立ち上がり、床が軋んだ音を鳴らす。


F「そんなに…裕太が……」

Ki「ゆう、た…?」


藤ヶ谷は、元宮家の生まれだ。

だからと言って、今上帝の御名をそのように軽々しく口にするなど許される行為ではない。


Ki「藤ヶ谷、お前…自分が何を言ってるのか分かってんのか⁈」


今夜の藤ヶ谷は、明らかにおかしい。


Ki「陛下に対して、そのような無礼な物言い…いくら元宮家の生まれだったとしても…」

許されるモノではない、と言おうとした。


…が、藤ヶ谷の身のこなしの方が、圧倒的に速かった。


グイッ…‼


目と鼻の先まで距離を詰めて来た藤ヶ谷が、いきなり俺の腕を掴んだ。


ガタンッ…‼


反射的に後退ったその拍子に、俺は後方に倒れ込んで脇息に(したた)か頭を打つ。


痛ってぇ〜〜‼


だけど、痛みに呻いてる場合じゃなかった。



F「裕太は…あいつは、お前を利用しようとしているだけだ」

藤ヶ谷が俺にのし掛かり、吐息が掛かるくらいの距離で俺を見下ろす。


Ki「俺を…利用?」

目の前に迫る藤ヶ谷の美しい顔立ちに、俺は変な錯覚を起こす。


F「絶対、本気になるな……忘れるな」


その時、だ。


Y「宏光様、藤ヶ谷様……寝殿でお殿様が、お2人のお越しをお待ちになられておいでです」


絶妙な状況で、横尾さんの声がした。

4.Y & Ki→←2.F



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設定タグ:藤北 , Kis-My-Ft2 , 歴史   
作品ジャンル:恋愛
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時

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