2.F ページ26
F side
初めて北山を見たのは、あれはまだオレが数え年で14才の頃だ。
父親である内大臣に連れられて、藤ヶ谷家を訪れた北山は…まさに天真爛漫だった。
Ki「なぁ、お前…何で、そんな暗い顔してんだよっ!」
F「なっ…!」
内大臣「これ、宏光! 何という態度を…」
Ki「そんな綺麗な顔してんのに、死んでるみてぇ…」
F「……」
…言い返せなかった。
まだ年端もいかない幼い北山の無邪気なその笑顔は、当時残酷な運命に押し潰されそうになっていたオレの心は何かに反応した。
F「なぁ、渉…あの者は?」
Y「内大臣家の末のご子息…宏光様だ」
F「北山…宏光」
数年後…
宮中で見かけた北山は、2人の大臣家のまだ幼い子息達と参内していた。
Ki「おぃ、千賀! ニカ!」
探険しに行くぞ、と得意げに言う北山に耳を疑った。
何も変わらない北山が、そこにいた。
…初めて見た時と同じだ。
北山は、オレにとって住む世界が違う眩しい光に包まれた存在だった。
ある夜…
養父が酒宴のために内大臣邸に赴くと聞いて、適当な理由を付けて供を申し出た。
太政大臣「太輔が進んで酒宴に足を運ぶなんて、珍しいな」
内大臣「今宵は、太輔殿がいらしているので
F「いえ、内大臣様には色々政治のコトなども教えて頂きたいですし、久々に渉とも会えれば、と」
内大臣「もうすぐ宏光も宮中より戻る時間…丁度良い、宏光も呼ぼう」
…嘘だった。
親友の渉となら、北山の出仕時間に合わせれば会うコトなんて簡単だ。
でも…
女官「旦那様、失礼致します」
その時、渡殿から声がした。
女官「宏光様が、宮中よりお戻りになられました」
オレは、自然の動作で宴席を中座した。
F「北山…!」
オレの声に、
Ki「藤ヶ谷…⁈」
Y「……‼」
Ki「えっ、お前……何で?」
北山の側に控えていた渉も、さすがに内大臣邸に現れたオレに驚いている。
だけど、そんなの構っていられなかった。
西の対屋に通されて、北山と向かい合って腰を下ろす。
Ki「あの、父上たちとの酒宴に来たんじゃ…」
F「北山、お前に話があって来たんだ」
Ki「俺に…話?」
宮中において、よもやこんな話題は口に出来ない。
でも、もう居ても立っても居られなかった。
F「北山…お前、今上帝の後宮に入るつもりなのか⁈」
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時