検索窓
今日:33 hit、昨日:8 hit、合計:166,010 hit

11.Ki ページ24

Ki side




内大臣邸・西の対屋(たいのや)ーー。


あれから、5日…。

冷たい池の水に浸かって意識を失った俺は、暫く出仕を控えるコトとなった。

だから、今日もこうして内大臣邸にいる。




Y「宏光様、実際は誰に襲われたんですか⁈」


横尾さんは俺が出仕を控えてから、ずっとこうだ。

Ki「俺が足を滑らせて、池に落ちただけだ」

Y「じゃあ、何でそんな時間にそんな場所に行ったりしたんですか!」

宮内省の宿直は、梨壺の外の見回り警備はしない…横尾さんには、最初から全てお見通しだ。

でも、一つだけ確かなコトがある。


Ki「東宮殿下に…お助け頂いた…あんな高貴な方が、俺なんかの為に…」

思い出すだけで、胸が熱くなる。

しかも…


Y「本当に…東宮様が⁈」

Ki「本当だよ!」


このやり取り…もう何回目だ⁈

いい加減ウンザリしていた俺は、寝具を捲って寝床からムクッと立ち上がった。


Y「あっ、どちらに…⁈」

Ki「横尾さんの声が聞こえない場所!」

Y「宏光様…!」


単衣に薄衣を羽織って、俺は早足で寝所を抜け出した。




(きざはし)を降りて、俺は誰もいない西の中庭に降り立った。


Ki「大体、皆大袈裟なんだよ…」


もう身体も回復して、今朝だって問題なく出仕出来た…なのに、東宮殿下からのお許しが出なかった。


Ki「まだ少し暑いな…」

でも、真夏の季節に比べれば、もうかなり暑さも和らいでいる。

そういえば、蝉の鳴き声も随分減った。


Ki「もう、夏も終わりだな…?」


ふと木の根元に何か落ちたと思い、そっと拾い上げると蝉の抜け殻だった。

この世で、七日しか生きられない宿命ーー


Ki「七日だけの命なんて、儚い運命だな…」


それなら、先代帝だってそうだ。

まさか、あんなにも儚くこの世を去ってしまうなんてきっと帝本人だって考えていなかっただろう。

なのに…



T「ミツー! コラッ、ちゃんと(やす)んでないとダメじゃん!」


その声に、俺は弾かれたように振り返る…そして、階を降りて来るその姿に夢じゃないかと錯覚した。


T「ミツがいない梨壺は退屈だから、お見舞いを兼ねてミツに会いに来たよ?」

Ki「えっ⁈」

まさか我が内大臣家に、東宮殿下がお越しになられるなど…現実か⁈


T「ミツ、今日は大事な話もあって内大臣家へお邪魔したんだ」

俺に…大事な話?


T「そう。ねぇ、ミツ…喪が明けてオレが即位したら、オレの後宮に入る気はない?」



【夏の章・完】

秋の章・夕霧→←10.F & Ki



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (336 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
565人がお気に入り
設定タグ:藤北 , Kis-My-Ft2 , 歴史   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。