9.K & F ページ22
Ki side
バシャァァンッ……‼
正面から水面に叩き付けられるようにして、俺は容赦なく水中に引き込まれて行った。
Ki「………‼」
突然、自分が置かれた状況に冷静に考えるなんて無理だった。
……俺は、一気に焦り出した。
たかが、宮中の池…ではない。
ここは、帝や皇族方が舟遊びに興じる場所ーー
だから、それなりの水深がある。
俺の身長では、間違いなく…
Ki「だ、誰か……誰か、、助け……‼」
助けを求める俺の本能が、声を出して叫びを上げようとしても…容赦なく口内に入り込んで来る大量の水に阻まれる。
夜の帳に包まれた真っ暗な水の中が、こんなにも恐ろしいなんて…初めて知った。
その時、だ。
グイッ…‼
何かが左足首に絡みつく感覚に、全身に鳥肌が立つような恐怖の感覚に血の気が引いた。
Ki「あぁっ、、ヤァッ……‼」
まるで、漆黒の深い水底に引きずり込まれそうな強さに俺は必死に足掻く。
身に付けていた衣が、水を吸って全身にまるで鎧を纏っているような重さに抗えない。
バシャバシャ……‼
何とか岸辺に行こうと両手をバタつかせる度に、虚しい水飛沫が上がるだけだった。
どうしよう…どうし……
Ki「………!」
叫びたいのに、声にならなかった。
この時間帯は、宿直の者が警備の為に巡回しない…まだ、あと……
ゴボ…ゴボボボ……‼
濁った水音に、全身が包まれる感覚……
スゥッ…と俺の意識が、遠退いて行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
F side
バシャァァン……‼
聞き慣れない音に、確かに闇夜に上がった水飛沫をオレは見た気がした。
「池の鯉でも跳ねたのでは?」
今夜、共に宿直をしていた同僚の呑気な反応など信用出来なかった。
F「ちょっと見て来ます」
一人で結構、と同行の申し出を断り、刀を差して梨壺に走った。
あれは、池に放たれた鯉なんかじゃない!
……嫌な予感がしていた。
F「…きた、やま……」
目の前の光景が、信じられなかった。
今夜、突然北山が宮内省で宿直を替わってもらったと知ってまず異変を感じた。
だから、急遽オレも夕刻までの勤務を変更して宿直役に入ったのだ。
だけど、まさか…こんな…
もう…頭で考えていられなかった。
この池は、北山の背丈では水底に足は届かない!
Ki「あぁっ、、ヤァッ……‼」
バシャァンッ……‼
オレは、本能のままに水中に飛び込んで行った。
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時