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7.T & Ki ページ20

T side




T「…何だ、宮田か」


M「え? 俺じゃダメだった…⁈」


先程、執務中に訪れた侍従にミツを呼ぶように言付けておいたのだ。

だから、宮田が現れるとは想定外だ。


T「何か、用か?」

M「タマさんのご機嫌伺い」

T「宮家は、暇だな?」


宮田は、先代帝が亡くなってから日を置かずにオレの許を訪れる。

以前より明らかに頻繁な宮田の訪問は、オレの様子伺いだと嫌でも分かった。


この喪が明ければ、オレは即位するーー。



T「オレのご機嫌取りなんかしても、別に宮家の扱いは変わらないぞ?」

M「そんなの…」

どうだっていい、と大して興味もない風に言う宮田にとって懸念事項は別にあるらしい。


M「タマさん、今も梨壺の西の端の廊下で…北山殿が…」


…またこの話か。

宮田は、こうやって時折ミツが宮内省の公達に陰で冷遇されている事実をオレに聞かせる。

オレのお気に入りと宮中でも噂のミツなら、そりゃあ周囲からの嫉妬も並大抵ではないだろう。

同情はするが、表立って助けるほどの興味はない。


T「それで、宮田が助けてやったのか?」

M「いや、丁度居合わせた藤ヶ谷殿が…」

T「太輔が…⁈」

M「全く普段は他人には興味がないような顔をしているが、やはり北山殿だけは違うみたいだね」



…面白くなかった。

オレを救ってはくれないのに、オレのせいで苦しむミツには簡単に手を差し伸べる。

オレには、決してくれないクセに…!


M「タマさん、藤ヶ谷殿の人事は大抵の者なら納得するけど、北山殿のは…さすがに不憫じゃないか?」


ミツにとって、分不相応だなんて今更だ。

それでも、オレにとっては必要な措置だった。



T「…もういい。宮田、今から人が来るからお前は退がれ」


単に話し相手が欲しかっただけだが、作戦変更だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Ki side




梨壺・東宮私室ーー。



T「ねぇ、ミツ…」


脇息に凭れてぼんやり外を見つめる殿下は、真夏の日差しに盛大に鳴く蝉の声に顔を顰めた。


T「毎日暑くて、嫌になるね」

Ki「夏ですからね」


夏用に装った薄手の衣を着用しているが、それでもまだ残暑が厳しい折…涼しくなるのは、もう少し先だ。



T「ミツ、そういえば…結婚の話、進んでる?」


Ki「えぇっ⁈」

思わず…声が裏返った。


M「ねぇ、もしまだ結婚したくないなら…オレが助けてあげよっか?」


だって、元はと言えば…これがオレの目的だったんだから。

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設定タグ:藤北 , Kis-My-Ft2 , 歴史   
作品ジャンル:恋愛
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時

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