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肉が焼ける。ああ、いい匂い。
彼の元にももうこの匂いは届いているだろう。
「じゃあ」と私の提案を受け取った彼は、二杯目のご飯と、残ったおかずを食べている。
私は自分の賄いと合わせて、彼に出す肉と野菜を炒める。
ほとんど「まぁ」とか「じゃあ」とかしか言わない彼も、この匂いには勝てないはずだ。
美味しいご飯の前では、人は無力。
そうに決まってる。
「出来ました、どうぞ！」
「…………どうも」
「ごゆっくりどうぞ」
「…………」
「あ、お茶いれますね」
「…………あの」
彼から声がかかったのと、私が振り返ったの、それから彼のスマホが鳴ったのは、ほとんど同時だった。
私も彼もびっくりして少し肩を震わせて、それから小さく会釈した彼はスマホを耳に当てた。
どうやら電話らしい。
「おん、何？」とずいぶんぶっきらぼうに話し始めるから、この人は普段からこういう人なんだ、と少し笑ってしまう。
特別に、私の態度が気に食わなかったとかで、無愛想なのではない。よかった。
電話口から「ヒョン！」と声がして、私にまで届く。
彼がスマホを少し耳から離して「うるさい」と言うから、その続きはもう聞こえない。
「おん、わかった。すぐ戻る」
そう言った彼に、先程とは違う「ジフナ〜！」と呼びかける声がして、彼はまたスマホから耳を離す。はぁ、と小さく溜め息をついて、「うるさい」と言ってから、彼は電話を切った。
ジフナ。
それが彼の名前だろう。
見た感じ、まだ若そうだ。小柄だけど肌が綺麗で、キャップでよく見えないけどはみ出した髪の色は相当明るい。
何してる人なんだろう、学生かな。
この辺に住んでいる人なんだろうか。
心の中で余計な詮索をしていると、彼は私に「すいません」と声をかけた。
「あー……
仕事、戻らなくちゃいけなくなって」
「あ、そうですか」
「出してもらったのに、すいません」
申し訳なさそうに、彼は肉を見つめる。
私じゃなくて、プルコギに謝ってるみたいだ。
「残ったの、持って帰りますか？」
そう聞けば、彼はうんうんと二回頷いてから、「おん、お願いします」と言った。
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svt11117(プロフ) - ほんとにすごく今更だけど、何故か急にこのお話のこと思い出して無性に読みたくなっちゃって漁りまくって読み返しちゃいました！初めて読んだ時と変わらずとても面白くて一瞬で読んじゃいました笑笑 自粛期間の私の唯一の楽しみでした、ありがとうございました､!! (2023年3月10日 20時) (
レス) @page30 id: 45166a94c7 (このIDを非表示/違反報告)
my(プロフ) - あやまろさん» コメントありがとうございます。書きながらちゃんと面白いのだろうかと思っていたので、そう言って頂けてうれしいです。引き続きよろしくお願いします！ (2020年11月8日 22時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
あやまろ(プロフ) - 初コメさせていただきます！今1番更新が楽しみな作品で更新される度ニヤニヤして読んでます笑 そして何よりお忙しい中更新してくださってありがとうございます！ (2020年11月8日 17時) (レス) id: 74f0e4a445 (このIDを非表示/違反報告)
my(プロフ) - ★たくさんお気に入りしてくださってありがとうございます！このお話は年内に完結するようにがんばりたいと思います。また別のお話や短いお話も書きたいなと思っています！ (2020年11月5日 19時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - めぐさん» お返事遅くなってすみません！コメントありがとうございました……！まただいぶ間隔があいてしまいましたが少しずつ進めていけたらと思っています。これからもよければお付き合いください！ (2020年10月17日 4時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：my | 作成日時：2020年2月16日 0時
