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はぁ、とため息を吐くと、くつくつと笑い声が聞こえる。私のこういう話がよっぽど面白いのか、友人は手鏡なんか放り投げて、こちらに身を乗り出している。
「ただのお客さんっていう割に
気にしてるじゃん」
「ん〜、そうだよねぇ……」
「好きなんじゃないの?」
「わかんない
最初からなんか気になってて」
「Aがそんな風になるの
珍しいじゃん」
「うん……だよね」
「なんで来なくなったんだろう
仕事忙しいから?」
「…………
私が変なこと言ったからかも」
前回、彼がお店に来た時の帰り際、私はまた余計なことを言った。だけど私からしたらそれは、ただ頭の中に浮かんだ、思ったことを伝えただけで、何の悪気も無かった。その時自分がどういう気持ちなのかも、よく考えもしないまま。
「あんた、何言ったの?
すぐ顔と口に出るんだから……」
「うーん……」
「勿体ぶらなくてもいいでしょ」
「その人と話したかったから
他にお客さん来なくてよかった的な?」
「いや、それ好きじゃん
好きのやつじゃん」
「そうなのかなぁ」
「好きじゃないならなんなの?
Aはその人とどうなりたいわけ」
「わかんない
……わかんないけど」
会いたいというより、話したいとか、ましてや触れたいとかいうより、そういうのより。
「ただ、一緒にごはんが食べたいなって……」
そう言えば、友人はおかしそうに「何それ」と笑ってから、「でも、Aらしいかもね」なんて続ける。
私らしいって、一体なんだろう。
いい話が聞けたと満足そうな彼女は、嬉しそうににっこりと笑う。
「Aが一緒にごはん食べたい男なんて
そんなの、めちゃくちゃ好きじゃん」
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svt11117(プロフ) - ほんとにすごく今更だけど、何故か急にこのお話のこと思い出して無性に読みたくなっちゃって漁りまくって読み返しちゃいました!初めて読んだ時と変わらずとても面白くて一瞬で読んじゃいました笑笑 自粛期間の私の唯一の楽しみでした、ありがとうございました、!! (2023年3月10日 20時) (レス) @page30 id: 45166a94c7 (このIDを非表示/違反報告)
my(プロフ) - あやまろさん» コメントありがとうございます。書きながらちゃんと面白いのだろうかと思っていたので、そう言って頂けてうれしいです。引き続きよろしくお願いします! (2020年11月8日 22時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
あやまろ(プロフ) - 初コメさせていただきます!今1番更新が楽しみな作品で更新される度ニヤニヤして読んでます笑 そして何よりお忙しい中更新してくださってありがとうございます! (2020年11月8日 17時) (レス) id: 74f0e4a445 (このIDを非表示/違反報告)
my(プロフ) - ★たくさんお気に入りしてくださってありがとうございます!このお話は年内に完結するようにがんばりたいと思います。また別のお話や短いお話も書きたいなと思っています! (2020年11月5日 19時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - めぐさん» お返事遅くなってすみません!コメントありがとうございました……!まただいぶ間隔があいてしまいましたが少しずつ進めていけたらと思っています。これからもよければお付き合いください! (2020年10月17日 4時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:my | 作成日時:2020年2月16日 0時