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彼はまた呆れたようにため息を吐く。
受け入れられたというより、諦められたという感じだ。
もう一度「いいですよね?」と念押しすれば、頭を抱えるようにして「勝手にしろ」と答える。
いいよ、勝手するし。
「オッパは何の仕事してる人なんですか?」
「…………」
「それも聞いちゃだめなのかぁ」
「おん」
「じゃあ好きな食べ物は?」
「それは知ってんだろ」と彼は笑う。
白米が好き、多分お肉も好き。
だけど他にどんなものが好きかも知らないし、甘いものが好きかどうかも知らない。
食べられないものはあるのかどうかも、どれくらい辛いものまで食べられるのかも。
「どうしていつもキャップ被ってるの?」
「……別に」
「えー、それもだめなんだ
あっ、彼女いる?かわいい?」
「…………は」
「じゃあ好きな飲み物!」
ぽかんとした顔の彼は、はっとしてから「だからそれは知ってんだろ」と言う。
彼の好きな飲み物はきっとコーラだと思うけど、じゃあチルソンサイダーは好きなの?お酒はどのくらい飲めるの?
何も知らない。
「今日何食べます?」
「……いつもの」
「だと思いました」
「あっそ」
「ねぇ、私も一緒に食べていい?」
実は朝ご飯食べてないんだ、私の言葉に「勝手にすれば」と彼が言うから、彼の向かい側の椅子を引いて座る。
「ダメならダメって言ってもいいんですよ」
私がそう投げかければ「じゃあダメ」と彼が笑う。「まぁ、勝手にするんですけど」と私も笑う。
ちょっと嬉しい。
嘘、すごく嬉しい。
誰かとご飯を食べるのは、幸せなことだから。
「にやにやすんな」
そんなこと言われても。
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svt11117(プロフ) - ほんとにすごく今更だけど、何故か急にこのお話のこと思い出して無性に読みたくなっちゃって漁りまくって読み返しちゃいました!初めて読んだ時と変わらずとても面白くて一瞬で読んじゃいました笑笑 自粛期間の私の唯一の楽しみでした、ありがとうございました、!! (2023年3月10日 20時) (レス) @page30 id: 45166a94c7 (このIDを非表示/違反報告)
my(プロフ) - あやまろさん» コメントありがとうございます。書きながらちゃんと面白いのだろうかと思っていたので、そう言って頂けてうれしいです。引き続きよろしくお願いします! (2020年11月8日 22時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
あやまろ(プロフ) - 初コメさせていただきます!今1番更新が楽しみな作品で更新される度ニヤニヤして読んでます笑 そして何よりお忙しい中更新してくださってありがとうございます! (2020年11月8日 17時) (レス) id: 74f0e4a445 (このIDを非表示/違反報告)
my(プロフ) - ★たくさんお気に入りしてくださってありがとうございます!このお話は年内に完結するようにがんばりたいと思います。また別のお話や短いお話も書きたいなと思っています! (2020年11月5日 19時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - めぐさん» お返事遅くなってすみません!コメントありがとうございました……!まただいぶ間隔があいてしまいましたが少しずつ進めていけたらと思っています。これからもよければお付き合いください! (2020年10月17日 4時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:my | 作成日時:2020年2月16日 0時