終天に巡り逢うⅣ (ページ10)

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ウルド様は部下に呼ばれて嫌そうに出かけたので外に出る。
太陽が眩しい。なるほど吸血鬼になるとこんなにも太陽に嫌われるのかと納得した。
紫外線中和リング様様だ。壊さないようにしようと心に強く誓った。
すん、と煙たい匂いと何かが焼ける音が聞こえた。そちらに向かって歩く。

「お。A〜」

ひらひらとこちらに手を振るルクさん。
の、背後には燃え盛る十字架。うん、あれ見たことあるぞー。漫画で。

「元気そうだな」

『お陰様で。その節はどうも』

と言ってからルクさんの背後に視線を逸らせば、彼は笑った。その笑みはどこか、危険なものを感じる凶暴なものだった。

「あれ、アリシア・ヴァーデンだぞ」

『あー…やっぱり？』

「馬鹿だよなぁ。Aに手を出せばどうなるかなんて、分かっただろうに」

『焼かれても死なないって苦しいのかな』

「そうなんじゃないか？まぁでも、こっから永久拷問だけどな。はは」

永久拷問。名前がもう怖いよねっていう。やだわぁ。てか笑い事じゃないっていうか。

「で、どうだ？吸血鬼になった感想は」

『…いや特に感想なんてないですけど』

「はぁ？ウルド様や俺と同じ存在になれて嬉しいー、とかあるだろ？」

『わぁ、嬉しいナー』

「生意気なところは変わらないな、おまえ」

と、笑ったルクさんは私の頭をぐしゃぐしゃと撫で回す。

「ったく。ウルド様がいなきゃ、おまえ死んでたんだぞ」

『…その節はご迷惑をお掛けしました』

「ウルド様がおまえを抱きかかえて帰ってきたけど心臓止まってるし、死んだのかと思ったよ。まぁ、息してたから察したけど」

『私、あんまりその辺の記憶なくて。本当に死にかけてたので』

自分の気持ちを伝えて、で、そこからはもう殆ど意識が無かった。だからウルド様が彼の血を私に飲ませたこともうろ覚えだ。とりあえず激痛が走ったのは覚えてるけど。

『…でも…生きられて良かったです』

「そっか。よかったな」

『吸血鬼になったら、…その親を憎むんですっけ？』

「そ。自分を死ぬことも出来ない、血を飲むだけの、不毛に生きる化け物にしやがって…ってな」

『…ルクさんも、そう思った…？』

と、聞けば彼は曖昧に笑う。

「どうだろうな」

『そっか』

「まぁ、おまえにはウルド様っていう伴侶がいるわけだし？大丈夫だろ」

…伴侶！？え、早くね！？まだそういう段階じゃないよね！？え！？違う！？伴侶ってあれだろ？永遠を誓った仲…あれ？誓った、のか…？