終天に巡り逢うⅣ (ページ45)

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番外編１１ページ45

「やぁ」

『…』

あはは。露骨に顔に出しちゃって。かわいいなぁ。
と内心思う。
そんなことを目の前の彼女に言えば間違いなく口をきいてくれなくなるので言わないが。

『何の用ですか』

まだ七歳の、幼さが抜けていない小さな子供。
だがしかし、その足元にはそんな子供には不釣り合いなモノが転がっている。

「大変だね」

『別に』

ツンツンしちゃって。本当は誰よりも傷ついてるくせに。
と思いながらも口にせず、少女を見下ろす。
きめ細やかな白い肌に、対照的な漆黒の髪。高貴さを漂わせる藤色の大きな瞳。幼いながらも整った顔立ちの彼女は、将来間違いなく美女になるだろう。まぁそれまで生きてるかは分からないが。

『…』

こちらを見上げてから、興味なさそうな顔で足元に視線を落とす少女______一瀬A。

『もう一度聞きます。何の用ですか』

「私のことは知っています？」

『百夜教の男』

人間、とは言わなかったな。何か知っているのだろうか。

『私を殺しに来た？』

そう問うてくる。真っ直ぐに、僕を見据えて。

「…何故私が？」

『私はあんたの計画の中にいないから』

つまらなそうに彼女は言った。
く、と口角を上げて見下ろすも、Aはただ静かに僕を見つめ返す。

「君はいったい何者だい？」

『一瀬のネズミでしょ』

そう、吐き捨てるように言う。
ずいぶんと自分のことを卑下にしている。まぁ、環境が環境だし仕方がないのだろうか。

「そうですか。では一瀬の子ネズミさん。私と組みませんか？」

『組まない』

「何故です？」

『私と組まないほうがいいよ。あんたの計画を崩されたくないなら』

「へぇ、私の計画ですか」

何を知っているのだろう。何か知っているのなら…邪魔だな。

『さぁ？あまり知らないけど復讐でもしたいの？』

と、しれっと言う。
誰にとは言っていないが、彼女は間違いなく知っている。
ガッとAの首を掴み持ち上げるも、彼女はただ凪いだ眼差しで僕を見上げた。

「何故知ってる？何を知ってる？」

『あんたが元は吸血鬼ってことくらいかな』

つい、と瞳を細めて目の前のか弱い存在を見下ろす。
ただの子供だと思っていたのだが、どうやら計画にいないモノらしく、読めない。
この子の目的はなんだ。

『目的なんてないよ』

「…」

『だってそんなの意味がないでしょ。この世界は誰かさんの思う通りにコトが進むようになってる。それはあんたも知ってるでしょ？リーグ・スタフォード』