終天に巡り逢うⅣ (ページ44)

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番外編１０ページ44

『っは、！』

浅く荒い息を繰り返して、茫然と宙を見上げる。

「どうしたんだ？うなされていたぞ」

『、』

嗚呼、あれは…あの夢は、私の、

________《原罪》だ。

「A？」

『…』

頭がクラクラする。気持ち悪い。
あの日のことを、思い出すなんて。
思わず片手を口元に当てて俯く。

気持ち悪い。
脈打つ心臓も、いまここにいる私自身も。

なんで、

なんで私は、

________ここで、生きてるんだ？

『、っ』

くるしい。

息ができない。

くらい、くらい真っ暗な闇に堕ちていく。

なにもわからなくなる。

なにもみえない。

ナニモカモ________

「_______A！！」

その中で、アカが瞬く。

「俺を見ろ。いまおまえの目の前にいる俺を」

『…、』

ぐい、と両頬を大きな冷たい掌で持ち上げられる。
その冷たい温度が、やけに気持ちよくて。私を現実へと引き戻す。

「おまえはここにいる」

『…ウル…ド、さ…』

「…俺が、わかるか？」

ああなんで。なんでいつもそうやって。

「A」

甘露を溶かし込んだようなその声は、いつも私を。
くしゃり、と顔を歪める。

『…ぅ、』

「大丈夫だ」

胸の奥が、苦しい。
《大丈夫》というその言葉が、どれだけ私を救ってくれてるのか彼は分かっているのだろうか。

「おまえは、ここで生きていい」

『、』

「A」

『ぅあ、』

苦しい。クルシイ。
生きていることが苦しい。なんで、どうして。
私は、

「ここにいてくれ」

『っ！』

ぎゅう、と抱き締めてくるウルド様。

『くるしい、』

「…ああ」

『くるしいんです、ずっと、ずっと昔から』

息がしづらいこの世界で、私はいつも溺れそうになる。

『…くるしいよ』

絶望と孤独の世界。
前の世界から切り離されて、こんなこところに堕とされて。
こんなところに、独りきりで。

「俺がいる」

『っ』

「おまえは、独りきりじゃない」

強く、強く、私を抱き締めて、つよく、言う。

「大丈夫だ。俺がいることを忘れるな」

その声に、言葉に、きゅう、と胸が締め付けられて。

『っぅ、』

縋ってはいけないのに。
この温もりに縋りつこうとしている私がいて。

ここで生きていて良いといってくれるこの人を、どうしようもないほど、私は。

『っ』

ダメだ。ダメだ。
私は決めたはずだ。誰にも縋り付かない。頼らないと。

なのに。
それなのに。

私はどうしてこんなにも、

_______この手を取りたいんだろう。