終天に巡り逢うⅣ (ページ4)

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何故突然そんなことになる？何がキッカケで、
と、そこまで考えて息を呑む。

『まさか…私が、瑚月の力を使ったから…？』

「…」

彼は何も言わない。
つまり、そういうことだった。
ガッ、と瑚月の襟を掴み言葉を叫ぶ。

『なんで…っなんで言わなかった！？おまえは分かってたはずだろ！？私がおまえの力を求めたら、どうなるかなんて…っ！！』

「うむ。そうだなぁ、」

『っ何を、呑気に！！どういうことか分かってるのか！？』

「ああ、分かっておるよ」

あくまでも飄々とした態度を崩さない彼に苛立ちが募る。

「…俺は永く生きた」

『！』

「何千、何万年と生きて…生きる意味を喪いかけていた」

瑚月は諦めたような、なんとも言えない表情で淡々と言葉を紡ぐ。

「誰にも認められぬことがどれほどの苦しみか、そなたには理解出来よう。果ての無い孤独と絶望だ。死を懇願することすらしなくなる。ただ、ただ、淡々と意味もなく生きるのみ」

『…』

「だがな、」

ふわり、と酷く美しく愛おしげに微笑む。

「そなたは、俺を見つけてくれたのだ。俺を家族にしてくれたのだ。それがどれほどの幸せだったか。俺は、そなたに救われたのだ。だから俺もそなたを救いたかった。そうするには、そなたに力を与えることしか出来なんだ」

『、憶えて、ないのに…？』

震える声。
だって私はもう、前の世界のことを思い出せない。彼と過ごした日々すら。瑚月のことを前の世界から知っていると認識出来るのは、ひとえに私が生まれてから彼がずっと側にいてくれたから。

「言ったろう？俺は憶えていると」

なのに、彼は何とでもないように言う。

「《そなた》が生きた証は、俺の中にちゃんとある」

『っ！』

「そなたは家族からも、友からも、皆から愛されていた。…それを奪ったのは、神と…俺だ」

『え、』

「俺と居たばかりに、そなたは目をつけられてしまった。俺のことを疎ましく思う奴に、利用させてしまった」

『瑚月のせいじゃ…っ！』

「だが一因は作った。そなたから家族を、友を、愛するものたちを奪ってしまった。こんな世界に無理やり連れて来られ、独りきりにさせてしまった。その手を血で塗れさせてしまった罪が俺にはある」

『っそんなの！そうしなきゃこの世界では生きられなかった！知ってるだろ！？』

「ああ。故に俺の力を分け与えた。だがその器がおまえには備わっていなかった。だから少しずつ、長い時間をかけて俺の力を浸透してさせていった」