終天に巡り逢うⅣ (ページ20)

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『…』

なんだかんだでフェリドの屋敷に連れてこられてしまった。
目の前で楽しそうに鼻歌を歌うフェリドを一瞥し、こちらを見ているミカエラに視線を移すと目が合う。

「っ」

『…なに？そんなに見られるとなんか嫌なんだけど』

「ご、ごめん」

「え！ミカ君ったらもしかしてAちゃんにフォーリンラブ？きゃー！」

「うざい」

『うざい』

「君たち今日が初対面ですよね？なんでそんなにシンクロしているんだい？」

「うざいから」

『うざいから』

「ええー。もぉ。僕泣いちゃうよ〜」

えーん。と泣き真似をするフェリドをミカエラも私も無視する。
うん、その気持ちよく分かるよ。こいつ凄くうざい。

「まぁいいや。とにかくミカ君。この子はAちゃん。第二位始祖様の番だ」

「は、？つがい？」

「見染められて吸血鬼になったんだよね？」

と、フェリドは私を見る。
いま私の苗字を言わなかったが、それはその方が面白いからだろうか。まぁ別にどっちでもいいが。

「吸血鬼…それも第二位始祖に番？そんなわけないだろ。おまえたちにそんな感情はないはずだ」

「僕たちに、でしょう？ミカ君。まぁそうだよねぇ。僕も気になってるんだ〜」

『おまえらに関係ないだろ』

「じゃあなんでついて来たの？」

『はは。なんでだと思う？それを言っていいのか？』

脚を組んで、頬杖をついて、問う。
探り合う瞳。フェリドは私の表情から情報を抜き出そうとする。それを心の壁を高く張り巡らせ、笑みを貼り付け阻む。

「…なるほどねぇ。君は誰かさんのように甘くないようだ」

『だろうねぇ？私はそんなに優しくないから』

「あはは。まぁいいや」

『ふぅん？』

「せいぜい捨てられないようにしなよ」

嘲るように、彼は言った。
それを鼻で嗤う。

『ご忠告どうも』

「あはっ。生意気な態度だなぁ〜」

フェリドは大袈裟に肩を竦めてから席を立つ。

「僕は用事があるから失礼するよ。楽しんでね〜」

ぱたん、と音を立てて扉が閉まる。沈黙がその場を支配した。

「…ねぇ、」

『なに？』

少し間を置いて、ミカエラは恐る恐るといったように口を開く。

「その…本当なの？君がその…つがいだっていうのは」

『そう思ってるけど』

「信じてるの？」

『…何が言いたいの？失礼じゃない？』

「あ…ごめん」

きつめに言えばミカエラは素直に謝る。
これがフェリドなら対応が違うんだろうな。
自分と同じ、最近吸血鬼になった存在だから気になるのか。