終天に巡り逢うⅣ (ページ13)

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『…え、』

「日本へ行くと言った」

屋敷に戻り、ウルド様から聞かされたのは日本に行くということだった。

「元々はもう少し早く行くつもりだったが…遅れる旨を伝えてからというもののクルルが早くしろと急かしてきてな」

『…』

「Aも目覚めたし、１週間後に行くことになった」

「クルルちゃんも短気ですねぇ？遅かろうが早かろうが変わらないでしょ、別に」

考える。
もう少ししたら《物語》が加速する。クルル・ツェペシはウルド様たちに終わりのセラフのことを知られたくないはずだ。そこに彼らは来てほしくないはず。だから急かしてきているのか。

「、A」

考え込む私を見て何かを察したのか、ウルド様は名前を呼ぶ。

『はい』

「全てを話せとは言わないが…一つ答えろ。それはおまえに危害を及ぼすか」

真っ直ぐに私を見据える紅い瞳。

『…今のところは、いいえです。私は《物語》の外の存在だったので…』

「…」

『あの。どこまで聞いたんですか？』

「俺とルクは、瑚月からおまえが他の世界から無理やり連れてこられたということは聞いている」

『それを、信じるんですか』

「…おまえは否定してほしいのか」

『そうじゃ、ないんですけど…でも普通、有り得ないじゃないですか…そんな…他の世界から、来たなんて…』

そう言って視線を落とす。
沈黙が怖い。呼吸音がよく聞こえて、見られている視線が痛い。

「…ていうか寧ろ納得だけど」

そこでルクさんが頬杖を突きながら口を開く。

『は？』

「だっておまえ、歳の割に達観してるし大人びてるし。いくら環境が環境とはいえ、なんか年相応じゃなくてちぐはぐなんだよ。だから一周したらなら納得かなーってさ。まぁ良いじゃん別に。他の世界から来たくらい」

『ええ…軽い』

「だって俺らも有り得ない存在だろ？永遠生きてるんだぜ？」

とルクさんは笑って。
軽く言ってるのに、それは多分本心なんだろう。それが分かるから、身体の緊張が少し解れる。

「ねぇ？ウルド様。別に一周してるからって何か思うわけじゃないですよね？」

ルクさんはウルド様に問いかける。
それに彼は頷いた。

「…確かに多少驚きはしたが、だからとおまえが嘘を吐いてるとも思っていない。ルクの言う通り納得したくらいだ」

『…気持ち悪くないんですか。貴方の過去を知ってるんですよ』

「別にAなら構わない。それに、全てを知ってるわけじゃないんだろ？」

『それは、そうですけど』