元彼と再会1 ページ4
翌日、子どもたちは「あー、群馬楽しかった。またキャンプに行こうねー」と言いながら帰って行った。
楽しい要素がどこにあったのか私にはさっぱりわからないが、あれほどの笑顔を見せてくれたら「次も連れていくね!」って思うから怖い。
いやいや、私には無理、荷が重すぎます。
阿笠博士、早く元気になって。
コナン君をポアロの前で降ろし、阿笠邸へと車を走らせた。
「哀ちゃん、昨日はテントの中でずっと寝てたって聞いたけど、大丈夫?」
「そうなの、江戸川君の風邪がうつったみたいで。
でも、ただの風邪よ。眠っていれば治るわ。今日はありがとう」
私は阿笠博士の様子を見るべく、阿笠邸にお邪魔した。
阿笠博士はだいぶ回復しているようで一安心だ。
ついでに、哀ちゃんの分の食事を作って阿笠邸を後にした。
時刻は午後14時を回ったところだ。昼ご飯は子供たちと一緒に途中で済ましてきた。
結局、登録したっきり一度もいっていないジムにでも行ってこようかな――。
運動はともかく、スパで癒されたい。
そんなことを思って、帰宅して荷物を整えた後ジムに向かった。
隣の――零の部屋にはあえて目をやらないことにする。
だって、万が一家に居たらすごく気まずい。
.
「うわ、蘇芳ちゃんみたいな走り方だと思ったら、本当に蘇芳ちゃんじゃん」と、休憩中に声をかけてきたのはこのジムのインストラクターの一人だった。
「――え? 近江谷(おうみや)君?」
身長178センチの高身長なのに、最近周りに背の高い人ばかりいるから普通に見えてうっかり瞬きしてしまう。
近江谷圭太は――平たく言えば元彼――の範疇に入るのかもしれない。
2年くらい前、お互いしょっちゅう合コンであって話も合うから、じゃ、付き合ってみよっか?ってノリで付き合ってみたものの、結局しっくりこなくて早々に別れてしまった。
顔は超イケメンとは言えないかもしれないけど、整っている方だ。特に笑顔が爽やかでスポーツ好きな雰囲気が漂っている。
ジムにぴったり。
ノリが良くて明るい。
いろんな意味であっけらかんとして、さばさばしている。
「じゃ、ちゃんとした走り方教えてください」と丁寧に言ってみたら「おう」とはにかんだように笑う。
結局のところ「走り方以前に筋トレだな」って結論に陥って、筋トレのメニューを組まれたのはなんだか納得できないけど。それでも最初よりはフォームがよくなったという近江谷くんの言葉を信じることにする。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年11月25日 12時