トラップ3☆ ページ29
「怒っているのか?」零が心配そうに問う。
「違うよ、そういうことじゃなくて……んっ――っ」
もうシュウは電話での話なんて興味がなくなったみたい。容赦なくその指先であちこちに触れて、私の感度を高めていく。
「ごめん、零。またね。私なら大丈夫だから――っ」
早口で言って手を伸ばしてスマホを電源ごと切った。
「ほぉ、君はこの状況が【大丈夫】なんだな。それは良かった」
シュウは私の耳元でくすりと笑うが、その姿は沖矢昴なので私をとても混乱させる。
「ちが……っ。そう言う意味じゃないし、ここに零を呼ぶわけにはいかないでしょ?」
「君が3人でシたいなら、いつでも応じる準備はあるが」
――そういう意味では絶対にない――っ
「そうじゃないの。ねえ、通話中にそういうことしないで――はあっ……うう……っ。そこダメっ……」強い刺激に、声が漏れる。
「電話はもう君が切ってしまった、もう通話中じゃないから構わないんだろう?」
降谷君、君のことを心配しているんじゃないかな、なんてうそぶきながらためらうことなく服を脱がせていくのを、やめさせる方法を持ち合わせていない。
そもそも、彼の姿は今沖矢昴だし、そういう関係になったらダメに決まっているのに。
「だめ……やだっ。するんだったらシュウとがいい……っ」
私がそう言うと、彼はわざと――変声器のスイッチを入れて沖矢昴の声にする。
「――その表情で、そんなことを言っても誰も止めてくれないと思いますよ。
煽っていると思われるだけでは?
それにほら――あなただって」
こんなになっていますよ、と、彼は私の耳元で意地の悪いことを指摘する。
何度も何度も指と唇と舌先で、ぎりぎりのラインまで責め立てて、追い詰めていく。
どんなに甘えても懇願しても、今まで口にしたことがないような言葉を出してねだってみても、まるで彼の耳には届いていないみたいだ。何も止めてくれない。
他にどうしようもなくて、何十回もシュウがいい、秀一が欲しいと懇願する。
「私と一緒に暮らしてくれるならいいですよ?」とようやく言ってくれた時にはもう、Yes以外の選択肢なんて思いつかなかった。
ほら、こんなに一瞬で赤井秀一になれるのに――。本当に意地悪だ。沖矢さん、怖い。
「俺は君のことを婚約者だと認識しているのだが、君は――?」
長い夜の終わりに、シュウの言葉が耳に飛び込んできたが、答えるよりも前に意識を手放してしまった。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年11月25日 12時