キャンプの付き添い4 ページ2
零は本業が忙しいからしばらく帰れないって言ってなかったっけ。
――どうして、今、安室さんがポアロに居るの?
心の中が、ざわっと嫌な音を立てて軋んだ。
もしかしたら「私にポアロに来て欲しくないから」なのかもしれない。
だって、安室さんが休日にポアロに居るのなら私は高確率で遊びに行く。それが迷惑なんだろうか。でも、そうならそう言ってくれればいいだけなのに……。
.
一方で日が暮れそうなのも心配だ。
いつの間にか現場には「三人の容疑者」なる男性たちが揃っていた。
「早くみんなを探しに行こうよ!」と言えばマスミは「やみくもに探したら、ボクたちが迷子になるだけだ!捜索隊に任せた方がいい」と言う。
それはそうなんだけど……。
気持ちが焦って仕方なかった。
犯人の男性は、結婚を約束した女性に山小屋に閉じ込められパニックになって斧で女性を殺害。子供たちもそこに閉じ込めたと言った。
私たちは現場へと走ったが、大きく火の手があがっていて近づけない。
コナン君が彼らの名前を叫んだら――別の方から声が聞こえた。
三人とも元気でほっとした。
見知らぬお姉さんがきて、助けてくれたという。
哀ちゃんは彼女に先に連れ出されたと言っていた。
コナン君は哀ちゃんを探すために走って行ってしまった。
私は子供たちを放っておくわけにもいかずそこにとどまった。
光彦君は、お礼を言いたくて彼女のムービーを撮って毛利事務所に送ったという。
「これです」と見せてくれたムービーを見て、私とマスミはそれぞれに息をのんだ。
――どうみても、これ、哀ちゃんじゃん――。
もっとも、例の薬の話を聞いていなければ、にわかには信じがたい。
そりゃ、コナン君がこれをなくして帰国できないとなれば、哀ちゃんも血相変えて「ロンドンに飛べる?」って聞いてくるわけだよね。
そして、確かに私よりは年下だ。高校生か大学生か――。
シュウの言った10代、というのは真実なのだろう。
この年で組織の幹部とか信じられない。どんな切れ者なの、哀ちゃん。
マスミはマスミで、その映像を見た後、何か深い思案をはじめた。
「よし、まずは病院に行ってどこも異常がないかみてもらおう!その後は……キャンプは辞めて今夜は旅館にでも泊まろうか?」
丁度蘭ちゃんからマスミ宛に電話がかかってきたので、その連絡はマスミに任せる。
心配をかけたくないので、私ではなく阿笠博士が付き添っていることにしておいてもらった。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年11月25日 12時