溺愛禁止！1【赤井秀一】【安室透】

面倒見の良い隣人3 ページ8

ざっと部屋を片付け終わった安室さんは私を見てため息をつくと、当たり前みたいにおでこを触って特に熱もないことを確認した。

「Aさん、15時までにポアロに来てくれたら、美味しいスイーツをご馳走します。
　春なので、あなたの好きなイチゴをアレンジしたムースですよ。
　
　来れなかったら僕が食べるので、あなたの分はありません。
　いいですね？」

「え――っ」

食べ物で人を釣るのはやめて欲しい。

「普段からデスクワーク中心なんでしょう？
　休みの日くらい動いてください」

ああ、説教が始まった。

「はーい、わかりました。でも、今は寝かせて。ほんとうに頭が痛いの」

「一人で深酒するからですよ」

「一人じゃなかったよ？ 一応他の人と一緒だったよ？」

「深酒を止めないような人と一緒に飲むのはやめたほうがいいのでは？」

アナタの交友関係に口を出す気はないですが、と言っているけど、既に口を出してるじゃないですか。

「うん、大丈夫。
　飲み屋で通りすがりに一緒になっただけの人だから」


多分。帰り際に赤井さんから「飲み友達になろう」って言われた気もするけど、あれは、飲みの席の社交辞令だよね。

そもそもアメリカから来て旅行中って言ってたし、多分二度と会うことはない、はず。



じゃあ僕は時間なので行きますね、と、爽やかに去っていく安室さんの後姿を見届けると、扉が閉まったのを確認してベッドに横になる。


次に目が覚めたときには頭痛が止まっていることを願いながら。

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