ヘッドハンティング15―風見side― ページ43
「わかった。その可能性も考えていた。きっとAさん、一人で大丈夫。ここで話を聞いてるし、万が一話がまとまらなかったらいつでも助けに入るから、安心して挑むといい」そういって、幼子にでもするようにくしゃりと頭を撫でた。
「異論なし。ジェイムズは話の分からない男じゃない。どうしてもダメなら煙草でもライターでも投げつけてやれ」赤井はそういうと彼女の頭にごく自然にキスを落とす。
赤井もそう――先ほどまでの無表情とはまるで違う優し気な表情だ。
「ありがとう。行ってくる。ここで喧嘩しないでよ?」
蘇芳もつられたように緊張して強張った表情を緩め、ふわりと微笑む。その瞬間、先ほど応接室で見せた表情とはまるで別人のような幼さが垣間見られた。
手元の時計はぴったり12時59分50秒。
服を整えた蘇芳はドアをノックすると「失礼します」と響く声でそう言い、どう見ても表舞台がお似合いであろうスーツに身を包んだ二人の美丈夫(この際自分はどうでもいい)を控室に置いたまま一人会議室へと踏み出した。
「赤井、どうして、Aに煙草なんて持たせているんだよ!」
降谷さんは呆れ顔で赤井をにらみつけ、唇だけ動かしてそう言った。
「そういうこともあるだろう。別に喫煙をすすめたわけじゃない」
赤井も唇だけ動かしそう言うと肩をすくめる。
ほんっと、なんでも喧嘩の火種になるんだな、この二人。
むしろ、蘇芳の前でだけ息を合わせていたのが不思議なくらいだ。
――ここで、二人の喧嘩が始まっても自分に止める手立てはない――そもそも、降谷さんが来たんだし、帰ってもいいのでは? そう思いながらも今更ここを出ていくわけにもいかず、会議の行方を見守った。
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まつり(プロフ) - タタリさん» タタリさん、ありがとうございます。 (1月26日 8時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
タタリ(プロフ) - 面白いです!赤井さん降谷さんコンビ最高! (1月25日 23時) (レス) @page22 id: 3b67077e0b (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - ハロさん» ご指摘ありがとうございます。ここでは代理できており、時間がないため説明の手間を省こうと偽っている設定です。本編に説明文を加えておきますね。 (5月18日 17時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
ハロ - 風見は警察庁では無く警視庁ですよ (5月18日 16時) (レス) id: 39e5bd607a (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - ゆーちゃんさん» 嬉しいです。ありがとうございます! (2023年3月2日 16時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2022年9月1日 8時