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ヘッドハンティング4 ページ32

私は曖昧に微笑んで退室すると、慌てて安室さんに電話をかけた。

私が持っている手札の中で、FBIに対抗できる国家権力なんて安室さんしかないんだもん。

いや、本当は安室さんが交番のお巡りさんとかで、何もできない可能性も捨てきれないけど……。

「おや、Aさん、こんな時間にどうしました? もしかしてお弁当どこかに置き忘れてきて困ってる?」

忙しいはずなのにワンコールで電話に出てくれた安室さんは見当違いのことを言う。

「違うの。安室さん今日ポアロ?」

話し方的になんとなく、そんな気がした。

「ええ、そうですけど」

「お願いだから、助けてくれない? 私今なぜか突然、FBIからヘッドハンティングされそうなの。

 斎藤長官知ってる? 斎藤長官私のこと買ってくれてるから、きっとなんとか手を回してくれると思うんだけど――」

さすがに、無理だろうか。

「赤井秀一――」って、不意に安室さんが呟いた。ううん、私、今、赤井さんの話なんて全然してないし、なんなら2日間会ってないうちに、存在自体微妙に忘れ始めているからもういいよ?

「安室さん。落ち着いて聞いて? 今は赤井さんのことはどうでもいいの。多分帰国したんじゃないかな。っていうか、私の話聞いてる?」

赤井さんのこととなるとキャラが変わってしまう安室さんを思い出し不安になった。

「ええ、大丈夫。何とかしましょう。期限はいつですか?」

「今日の13時にもう一度来るから返事を聞かせろって言われてて、本当に困ってるの!」

「それはまた――。わかりました。必ずなんとかするので、お昼ご飯はしっかり食べてくださいね!」

「……今それ?」

それ、どうでもよくない?

「どうせ朝もコーヒーだけとかそんなのでしょう? 好き嫌いなく全部食べてください。そうしたら助けてあげますよ、どうですか?

 梓さん、僕ちょっと出てきます、すみません」

「……わかりました。食べます。なんなら、今後はコンビニATMから深夜に軽率にお金を引き出すのもやめておきます」

とにかく助けてほしかった。

「わかってきたじゃないですか、偉い。じゃあ安心して待っていて」

そう言うと、電話が切れた。

私は頼りない気持ちで真っ黒になったスマホの画面を眺めるほかなかった。

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まつり(プロフ) - タタリさん» タタリさん、ありがとうございます。 (1月26日 8時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
タタリ(プロフ) - 面白いです!赤井さん降谷さんコンビ最高! (1月25日 23時) (レス) @page22 id: 3b67077e0b (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - ハロさん» ご指摘ありがとうございます。ここでは代理できており、時間がないため説明の手間を省こうと偽っている設定です。本編に説明文を加えておきますね。 (5月18日 17時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
ハロ - 風見は警察庁では無く警視庁ですよ (5月18日 16時) (レス) id: 39e5bd607a (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - ゆーちゃんさん» 嬉しいです。ありがとうございます! (2023年3月2日 16時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつり | 作成日時:2022年9月1日 8時

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