ディナー5 ページ26
「それは……」
突然、あからさまな動揺を見せて安室さんの言葉が止まった。
「昔、少しだけ。
安室君と同じところで仕事をしていたことがある」
赤井さんは静かな声で噛んで含めるような口調でそう言った。
「……なるほど……」
これはそれ以上は聞くなってことだよね。
タイミングよくデザートが運ばれてきたので、その話はこれでおしまいになった。
私がアイスクリームを美味しく食べていたのが面白かったのか、赤井さんは「これも食べるといい。甘いものはあんまり得意じゃない」と、自分のアイスまで譲ってくれた。
「でね、安室さん。私は赤井さんとは付き合わないから明日からもお弁当作ってくれないと困るんだけど」
いや、実際には困らない。
パンとコーヒーで済ませるだけだ。
「――何言ってるんですか。赤井と付き合ったところでお弁当はいるくせに。絶対に赤井には栄養バランスを考慮して弁当を作るなんて言う高度なことはできませんよ?」
安室さんは私を見て、感じの良い笑みを見せる。
安室透の口調を取り戻してくれて良かった。
っていうか、よくわかんないけど、安室さんは私が赤井さんと付き合ってもお弁当を作ってくれるつもりなの?
いや、付き合う予定もないけれども。
食事を終えた私たちは帰り支度を整えた。
「昼間はちょっと動揺しただけです。ええ、もう平気。
僕は仕事に戻ります。その前に家に取りに寄りたいものがあるので、今帰るのなら送りますよ?」
「じゃあ、私、安室さんと一緒に帰るね。赤井さん、今日はありがとう」
赤井さん、エスコートしてくれたんだもん。
お礼は言っておかないと。
そう思って見上げれば、赤井さんはふわりと微笑み
「ああ、そうだな。A、おやすみ」まるで当たり前のように私の頬にキスをした。
文化の違いと安室さんからの視線が怖すぎる……
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まつり(プロフ) - タタリさん» タタリさん、ありがとうございます。 (1月26日 8時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
タタリ(プロフ) - 面白いです!赤井さん降谷さんコンビ最高! (1月25日 23時) (レス) @page22 id: 3b67077e0b (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - ハロさん» ご指摘ありがとうございます。ここでは代理できており、時間がないため説明の手間を省こうと偽っている設定です。本編に説明文を加えておきますね。 (5月18日 17時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
ハロ - 風見は警察庁では無く警視庁ですよ (5月18日 16時) (レス) id: 39e5bd607a (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - ゆーちゃんさん» 嬉しいです。ありがとうございます! (2023年3月2日 16時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2022年9月1日 8時