溺愛禁止！1【赤井秀一】【安室透】

ディナー2 ページ23

仕事の忙しい安室さんが到着したのは、私たちよりも後だった。

「遅くなって済まない」

そういう安室さんは午後みたのと同じスーツ姿だ。

きっと食事が終わったらまた仕事に戻るのだろう。

「いえ、むしろ私たちの食生活が乱れているばかりに忙しい安室さんを付き合わせてしまってなんか、ごめんね」

私は素直に謝った。

赤井さんは特に気に留める様子もなく煙草を吸っている。

赤井さん、責任の半分は、食に興味のない自分にあるってことわかってる？絶対にわかってないよね――。


それにしても、きちんと今時珍しい喫煙可のレストランを選んでいるあたり、安室さんは赤井さんのことをよくわかっているんだなあと思う。


息を吸うように煙草を吸う人なので、多分ここが禁煙席でも吸うもんね……。

わざわざ毎回止める方が面倒だ。

後、赤井さんの喫煙姿はものすごく絵になる。

普段の姿はもちろん、今みたいにスーツ姿で、ニット帽をかぶらずに綺麗に髪がセットされてる彼が煙草を吸う様子は壮絶な色気が漂っていて――。

あっちこっちの視線をひそやかに独り占めしている。

怖いのは本人に一切の自覚がないことだ。

ああ、こういうのを隠すために誰かが彼に意図的にニット帽をかぶらせているんだなと理解した。



「ねぇ、赤井さん料理が来るからもう煙草やめてくれる？」

私がそういえば、彼はいたずらが見つかった子供のような顔をして

「そうか、それは悪かった。
　つい無意識に吸ってしまう。君に迷惑をかけることがあればいつでも遠慮せずに言ってくれ」

と、まだ長い煙草を惜しげもなく灰皿に押し付けているので、心底無意識なのだろう。

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