溺愛禁止！1【赤井秀一】【安室透】

ハッキング犯4 ページ20

「で、安室さんは何をどうしたら納得してくれるの？」

「どうして今夜赤井と二人で食事に行くんだ？」

安室さんは腕を組んでいて、とても不機嫌だった。

「――飲み友達だから？」

私だってその答えが知りたいよ。
赤井さんは魅惑的な笑みを見せるだけだ。

「Aさんと赤井が二人で食事なんて、絶対ダメに決まってる。
　二人とも、食事が面倒だからと三食ともコーヒーや栄養補助食品で満足するタイプだ。

　どうせ、今夜も食事じゃなくて飲むだけなんだろう？」

私は赤井さんに視線を向ける。肩をすくめたところを見ると、どうやら同じらしい。

「お酒、美味しいよ？
　嫌なこと全部忘れられて楽しいし。

　さすがに月曜日だから深酒もしない。明日も私は仕事だから、飲んだ後はまっすぐ帰るよ、ね？
　っていうか、そんなに心配なら安室さんも一緒に飲む？」

どうでもいいから納得して帰ってほしい。
もはや、丁寧にしゃべる気力も失せてきて気づけばタメで話しかけていた。

ってか、安室さん、仕事忙しすぎるって言ってたじゃん？

「そうやって若いうちに食事をおろそかにしていると、いつかしっぺ返しが来るとあれほど言っているのにまだわからないのか、君は……」

また説教が始まった。

「赤井さん、私より年上だけど、全然元気じゃん？」

何食わぬ顔で次の煙草に火をつけている赤井さんを見ながら言ってみる。

安室さんは深いため息をついた。

「赤井を見本にするな。説得力は皆無だ。

　――わかった。
　レストランはこちらで予約しておく。
　あとでメールを送るから……」

「20時にしてくれる？ それ以前は無理なので。赤井さんもそれでいいよね？」

「ああ――了解した」



こうして私たちは解散した。
なぜか、今夜20時に一緒に食事をする約束をとりつける羽目になりながら……。

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