test of courage4 ページ49
秀一さんはコーヒーを飲みながら、難しい顔をしてパソコンを眺めている。時折キーボードを叩く音がした。
私は食事を終えて食器を洗う。
「俺、部屋にこもって仕事するから気にしないで。鍵は預かっているから、気にせず過ごして」
食事を済ませたJが食器を持って来たついでに私にそういったので、聞いてみる。
「お昼ご飯、食べるよね?
サンドイッチ作ろうと思うんだけど、好きなものとか嫌いなもの、ある?」
「いや、特にないよ」
「わかった。
冷蔵庫に入れておくから、好きなタイミングで取りに来てね。
声はかけないつもりだけど、それでいい?」
「ああ、すごく助かる。ありがとう」Jはそういうと、ダイニングから出て行った。
秀一さんだってサンドイッチくらいなら食べてくれるかも。
薄切りパンだけ評判のいいパン屋さんで買ってこようと部屋に戻って着替えて出かける。
いつもの倍、サンドイッチ用のパンを買ってみようかな。
うーん……。やっぱり3倍がいいかな。
アメリカ育ちだと思われるJの好みではないかもしれないけれど、やっぱり秀一さんにきちんと食事して欲しいし、イギリスのアフタヌーンティー風のサンドイッチにしようと決める。
それだと、家にある食材でだいたい賄えるはず。
「あ、Aお姉さんだー!」
公園のそばを歩いていたら歩美ちゃんに声をかけられた。
光彦君、元太君と一緒に遊んでいる。
「セミ取ってるの?」
「うん。でももう飽きちゃった。事件もあんまり起きないし、お化け屋敷に行ってみたいんだ」
「お化け屋敷?」
「そうなの。米花商店街に夏限定のお化け屋敷ができていてね、行ってみたいんだー」
「へえ、それは楽しそうね」
「肝試し、夏にはやらなきゃだぜ!」元太くんがにこりと笑う。
「お姉さん、一緒に行かない?昴お兄さんも一緒に」
「今日は予定があるの、ごめんね」
「そっかー、残念。また一緒に遊ぼうね」
「ええ。お兄さんにも伝えておくわね」
バイバイと手を振ってパン屋に向かうと、目当てのパンを手に入れた。
店から出ると、昴さんがスバル360を背に、当たり前みたいに立っていた。スタイルの良い彼が腕を組んで1人佇む様は本当に絵になる。私と目が合った瞬間にふわりと微笑むので、驚きのあまり息が止まるかと思った。
今日、仕事忙しいんじゃないの?わざわざ着替えてまで外に出る必要ないのに。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時