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仮面の効果か――。
私が返したスマホを片付けて、Jは口を開く。
「この写真だけでも、彼が簡単に誰とも仲良くなれないのがわかるだろう?」
「ね、写真消せって言われなかった?」
「言われたし、もちろん何枚かはすぐに彼の前の前で消して見せたよ? 連写機能は便利だし、彼はそういうのに一切興味がないからね」
Jは肩をすくめる。でもまあ、秀一さんだってきっと何枚か残っていても仕方ないか、こいつだしって思ったってことだよね。
そうじゃなきゃ端末ごと踏みつぶしてそう。
「ところで君は? 身勝手なアイツのあれこれに巻き込まれて大変じゃない?」
「最初はそう思ってたんですけど、いつの間にか慣れちゃいました。慣れって怖いですね」
「君が嫌な思いをしていないなら、それでいいんだ」
「でも、彼はそのうち忙しくなるだろうし、いろいろと事が片付けば元の姿に戻ってアメリカに帰っちゃうし、そうなったらどうなるんだろうとは思います」
「君もアメリカに来ればいい」
「冗談ですよね?ちゃんとお二人が私に合わせてゆっくりわかりやすく話してくれているからなんとか会話が成り立っているだけで」
とてもアメリカで普通に暮らせるほど喋れるとは思えない。
2人が私のレベルに合わせて、ゆっくりわかりやすく簡単な単語を使って喋ってくれているから会話が成り立っているだけだ。
「そんなことはない。君とは十分に楽しい会話ができている。もっと自信を持っていいのに。――You haven't changed at all.(君は全く変わってないな)」
ぼそりとJが口にした、最後の一言の意味が分からなくて固まってしまう。
「それって、どういう意味?」
Jは特に表情を崩すこともなく、いつもどおり読めない笑みを見せるだけだ。
「いや、大人っぽく見えても、まだまだ可愛らしいなって話。さあ、そろそろ君を約束の場所に送り届ける時間だ。遅くなると怒られる」
そういって伝票を持ち歩き出したので、私も慌てて後を追う。
だから、この話はあっという間に忘れてしまった。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時