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「お疲れ様。すごく助かったよ、遅くなったけどこれから昼ご飯、食べるよね?」
仕事が全て終わり、ビジネス街から離れた後Jはようやく普段の距離感で私に声をかけてきた。
「ありがとう」
仕事終了の合図だろう。レストランに入り、私はようやく肩から力を抜いた。
「とても助手が初めてとは思えない手際の良さだ」Jがにこりと笑う。
「それ、素直に喜んでいいのかな?」
Jの手伝いをしていると、自分がいいことをしているのか、悪いことをしているのかわからなくなってくる。
違法行為なのは間違いなくて、そうかといってこれを合法的に実現するには壁が高すぎて現実的じゃないわけで……。
「俺は喜んでほしいけど」
好きなものを食べてとJは言う。
「彼(シュウ)とはいつから仲がいいの?」
「仲が良かった覚えはないけど……。いつからだろうな、気づいたらという感じだ。お互いほら、才能はあるが組織向きじゃないという意味で悪目立ちしてたからな」
「姿も知られてないのに悪目立ちしちゃうのすごい」
「電話やメール、チャットでの情報提供は日常だから。俺の存在自体がシークレットなわけじゃないし、情報の速さと正確さは同僚の誰にも負けないと自負している」
「なるほど。彼と気が合うわけね」
「気が合っているという自覚はないな。あ、これがこの前言ってた隠し撮り写真」
ほら、とJがスマホを見せてくれた。
これはもはや、芸能人のプロマイド写真として売れるレベルなのではと言いたくなるくらいの見目の良さで、呼吸が止まるかと思った。
今より幾分若い秀一さん――その髪は腰まであって後ろで綺麗にまとめられている。
切れ長の瞳から殺気を感じるのは隠し撮りに気づいたせいかもしれない。
存在自体が研ぎ澄まされたナイフのようだ。
クールでかっこよくて、絶対にどこかで見かけても声をかけたくないタイプの人。病室で彼が口を開いたとき怖いと思ったけれども、あの時はだいぶ「初対面の人を怖がらせないよう」気を遣っていたことがわかる。
「……怖っ。これ、みなかったことにしておきます」
そういう私に、Jはくすりと笑う。
「そう? 君の前にいるとき以外は、彼、今でもずっとこんな感じだよ。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時