disclosure8 ページ24
「あ、でもね？ 私が勝手に止血してタクシー呼んだだけだし、安室さんは心底迷惑そうだったから私にできることは何もないと思うよ？
ただ、今朝そういうことがありましたってだけの話。
秀一さんに隠すつもりもないし、過剰に心配しているつもりもないんだけど、どこかでそう思わせているのならごめんなさい。
話さないことで心配かけるのも嫌だから話したけど――」
わざわざ伝えるほどでもないと思ったんだけどな……。
秀一さんに納得してもらえたかどうか、不安になる。
「事実を疑っているわけじゃない。
そんなことは、調べればすぐにわかる。
俺が知りたいのは、Aがどうしたいか、それだけだ。
君がそれでも助けたいというのなら、いくらでも手立てはある」
「――それは、私の力じゃないよ？」
「おかしなことを言う。俺の能力は全て君のものだ」
私にとっては秀一さんの主張の方がだいぶおかしく聞こえるけど――。
この辺りはどうしても分かり合えないんだよね。
「そうだとしても、安室さんはやっぱり私には助けてほしくないんじゃないかな。
私、多分秀一さんが思っているほど安室さんと交流ないよ？
あ、だったら別のことを調べて欲しい。
頼んでいい？」
「もちろん」
私は米花町郊外にあるという〇〇ビルについて調べてもらうことにした。
これでもう、安室さんに電話で確認する必要もないので安心だ。
〇〇ビルの所有者が、現在関東を中心に跡目争いで揉めている流星組であることが判明した。
今は表向きは廃ビルになっていて、テナントの貸し出しなどは行っていないという。
「なるほど、確かにこの写真の中の数名を先日のデート中に見かけたな――」
「安室さんって暴力団対策の仕事しているの？」――イメージとまるで違う。
「いや――。日本の警察の仕組みには詳しくないが、俺が知る限り公安のメインはテロ対策だろうから多分違うはず。彼も大変だな」
どちらにしても、ポアロの安室さんしか知らない私にとっては、なかなか腑に落ちない返答だった。
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作者名：まつり
| 作成日時：2022年8月1日 15時
