disclosure4 ページ20
「Jはどのくらい日本に居るの?」
「一週間程度かな。どうしてもオンラインではできない仕事をいくつか現地でこなしたくて」
「じゃあ、ずっとここに?」
「そう? そんなに俺にここにいて欲しい?素直ないい子は可愛いなあ、お兄さん、張り切っちゃおうかな」
――話が真っすぐ伝わらないのは、語学力の問題ではないと思う。
「Wi-Fi完備、望みのロケーションにほど近いホテルを抑えてあると言ってるだろう。今すぐ出ていけ」私が返答に詰まっていると、隣にいた秀一さんがそう言ってくれた。
「積もる話があるかと思ってわざわざこうやってきてやってるのに、ほんっとつれないなぁ」Jはにっこり笑って受け流す。
「つれなくて結構」
「それにほら、Ladyだって俺に調べて欲しいことや聞いてみたいことの一つや二つ、あるんじゃないの?」
言われてすぐに、トムのことが頭に浮かび私は困って秀一さんに視線を送った。
「君のことはこいつに、何一つ話してない。カマをかけられているだけだ」秀一さんが日本語でそういう。
「――調べない方がいいんだよね?」私はあえて人名を出さずに聞いてみる。
「例えば、生死の確認だけして君がそれで気が済むなら反対はしない。
でも――」秀一さんは返答を濁らせた。
生きていると知れば会いたいと思うかもしれない。
でも、あの組織に名前も存在も知られている私が動けば、組織の誰かにその情報が伝わる可能性だってある。
それがもとで、トムの身に何かあったら本当に悔やんでも悔やみきれない。
だから、好奇心だけで、パンドラの箱はあけない方がいい。
「あいにく、わざわざプロフェッショナルの手を煩わせてまで調べて欲しいことなんてないわ」私は英語でそうJに伝えた。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時